チケット販売率99.3%は史上最高 ラグビーW杯の成功を支えたもう1つの「ONE TEAM」
「99%という数字は大会の盛り上がりがないと達成できないものだった」
エリアに特化したプロモーションと並ぶプロジェクトとなったのが、デジタルプロモーションだった。公式チケットサイトのID登録で集まった、ラグビーに関心がある人々のデータを分析・活用。購入抽選申し込みの有無や購入傾向などに応じて、それぞれの関心を引き立てるようなメールを配信したり、ネット広告を掲出したり、ターゲティングによる費用対効果の高いプロモーションを行った。公式ツイッターやインスタグラムなどSNSを利用したチケット販売促進もデジタルプロモーションの活動だった。
エリアやデジタルだけでなく、開幕1年前、100日前、50日前などの各イベント開催、マスメディア広告やメディアでの特集など大会組織委員会のチケッティング・マーケティング局のそれぞれの働きがチケット販売として実を結び、開幕前には「想像以上でした」という95%のチケット販売を記録した。
「振り返ると、大会期間中に売れたチケットは全体の4%くらいなんです。ただ、その4%は事前の施策では売ることが難しかった分だった。なので、あの大会の熱量がなければ、チケット販売率は99%までいかなかったかもしれません。プロモーションをする中で、大会の盛り上がりを見込んだ不確定要素の高いチケット販売プランではいけません。盛り上がりとは別に、可能な限り早く、できる限り多くのチケットを売ることが大事。その上で、最後の4%という数字は大会の盛り上がりが後押ししてくれたものだったので、本当にありがたいと思いながら見ていました」
大会終了後の総括会見で、国際統轄団体ワールドラグビーのビル・ボーモント会長は「最も偉大なW杯として記憶に残る。日本は開催国として最高だった」と、大会の成功を称えた。そして閉幕から1か月が経とうという今もなお、各メディアに「ラグビー」の文字が躍らない日はない。大内さんは、この経験をこれからもスポーツのビジネスで生かしていくという。
「今回の経験のおかげで、国際的なスポーツイベントという1つ違う世界を見られたことが、本当にありがたかったです。みんなと一緒に働けてよかった。チャレンジしてよかったと思います。次の仕事にも生かして、日本のスポーツビジネスに貢献していけるようにしたいですね」
開幕前の「チケット、本当に売れるんですか?」という世間の予想を、「必ず会場を満員にしよう」という目標を掲げた「ONE TEAM」で覆してみせた。この経験はプロジェクトに関わった全員にとって、かけがえのない財産となったはずだ。
(THE ANSWER編集部)