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誰も知らない、井上尚弥の限界 抜群だった“心の作り方”、怪物は「目標を持たない」

決して失うことのない限界突破への意識「次の強敵をどう倒すか」

 ドネアとの死闘。自身3年半ぶりの判定決着までもつれ込んだ。下馬評では井上優位だったが、相手は不利予想を何度も覆してのし上がったレジェンド。一撃必殺の左フックに、もしかしたら…と思わせる不気味さがあった。これこそ、井上が望んできた「ヒリヒリする試合」。リング上で互いに拳を交差させ、自身初の流血を経験。ロープを背にし、クリンチで難を逃れようとするシーンも見せた。

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 モンスターらしくない姿。会場のファンからは悲鳴が響いた。井上尚弥が負けるのか。そんな不安を抱いた人もいたかもしれない。ただ、リング上の井上は、そんな心配をよそに全てを失う可能性もある時間が心地よさそうだった。一夜明けてこう語る。

「陣営はハラハラしたでしょうけど、やっぱり殴り合ってこそ、というものがある。楽しかったですね」

 待ち望んだ課題に出会ったことで、嬉しそうに笑う。常人には理解しがたい感覚で戦っていた。各階級で世界王者の肩書を奪い、どれだけ敵をなぎ倒しても強くなろうと汗を流す。他競技に比べて単調な練習が多く、過酷なボクシングは、トレーニングに“飽き”が生まれやすい。それでも、井上は基本を徹底して上を目指している。

「何のために練習するかというと、自信を持つため。限界を少しずつ破らないといけない」。決して失うことのない限界突破への意識。父・真吾トレーナーに指摘され、気を引き締めることもあるが、自ら心を燃やし続けてきた。モチベーションの作り方も抜群に上手い。燃え尽きることのないモンスターは、いつだって“戦い切る”姿を見せている。

「いつかは、僕もどっかで負ける時が来るかもしれない。ボクシングの競技性が持つ魅力として、勝ってもまた次が出てくるし、引退するまで次が現れる。

 強さには満足していないですし、自分でもまだまだ底が見えない。自分でもどこまで強くなるんだろうっていうのが楽しみ。前回、前々回といい結果を出しても、ボクシングは次の強敵が出てくる。次の強敵をどう倒すか。強敵に対してどう戦うかにモチベーションがある」

 ドネアを倒し、また一つ経験を積んだ。誰か、井上尚弥の限界を教えてほしい。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)


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