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南アフリカが実現させた「虹の国」の形 違いを超え、団結した力から得る学び

多様な人種が融合する「虹の国」をラグビー代表チームが実現

 コリシは決勝に向けての記者対応で、2007年のW杯は自宅にテレビがなかったため、育ったズウィデという街にあるバーまで見に行ったことを明かしていた。英国営放送「BBCスポーツ」の公式サイトによれば、コリシは「ティーンエージャーの両親のもとに生を受け、台所掃除をして生計を立てる祖母により育てられた」という。居間に置かれたクッションの上で寝起きし、ボクサーショーツを穿いてラグビーをプレー。エラスムスHCが話す通り、「頭の中に浮かぶことと言えば、明日食べる物が手に入るのか、それだけの時もあった」と振り返ったこともある。

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 父も祖父もラグビーをしていたコリシは早くから頭角を現し、名門私立学校へ奨学生として入学。州代表としてプレーするうちに、南アフリカのU18代表にも選ばれ、ついにはトップチーム入りした。州代表時代から知るエラスムスHCに主将を任され、頂点に輝いた2019年W杯決勝が代表50キャップ目の節目。その胸中は収めきれない様々な思いに溢れたことは想像に難くない。

 1995年、南アフリカがW杯初優勝を飾った時、登録メンバーで白人ではなかったのは、今年9月に逝去したチェスター・ウィリアムスだけだった。それから24年が過ぎ、白人以外の選手は登録メンバーの約1/3にまで増加。エラスムスHCは人種にかかわらず均等にチャンスを与え、1つのチームにまとめあげ、頂点を掴んだ。マンデラ氏が目指した多種多様な人々が融合する「虹の国」は、南アフリカの実社会よりも一足先に、ラグビー代表チームで実現されたというわけだ。

 ノーサイドの精神を持つラグビーは、様々な違いから生まれる垣根を取り払いやすい環境が整っているのかもしれない。だが、白人HCと黒人主将が率いた混成チームが世界最強の称号を掴み取ったストーリーには、南アフリカが目指すべき姿があり、世界中の誰もが得られる学びが詰まっているのかもしれない。

(THE ANSWER編集部)


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