稲垣啓太が覗かせた充実感 日本のスクラムが「世界に通用すると証明できた」
目標だった決勝トーナメントには進んだが「誰もベスト8で満足していない」
確かにペナルティの増えた後半に失点を重ね、トライも立て続けに奪われた。その点は課題として即座に振り返った。
だが、1次リーグの4戦の中でティア1の強豪と真っ向勝負で渡り合い、日本にスクラムありを見せつけたのも、これまで取り組んできた成果だと強調する。
「長谷川(慎)コーチとやってきたスクラムが世界に通用することが証明できたのは、選手全員が喜んでいるんじゃないですかね。全員が慎さんをリスペクトしていましたし、慎さんが話すことにみんなが耳を傾けていたので。
ただ、その中でW杯で一番自信を持てた瞬間っていうのは、アイルランドとのスクラムでターンオーバーを奪ったシーンじゃないですかね。ティア1に対してああやって相手を押し込んで、ターンオーバーすることができるんじゃないかと、そういったことを証明できたんじゃないですかね」
こう振り返り、充実感も口にした。目標だった8強には到達した。この結果を次に、4年後にどう生かすのか。
「誰もベスト8で満足していないでしょうし、次の目標を見据えることが非常に大事だと思う。ベスト8の目標がかなった以上、次に進む必要があると思いますし、今度は予選リーグを勝ち抜いて、こういった勝てば次に進めるというファイナルラグビーに対して、どういうことが大事になってくるのか。そういう部分を4年で詰めていく必要があるんじゃないですかね」
最後まで笑って終えられるのは1チームだけ。“笑わない男”はすっきりした表情で、早くも新たな挑戦を見据えた。
(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)