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「叫び」に応え続けた14年間 代表引退のアイルランド主将を送った“一人花道”

ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は19日、準々決勝を迎え、東京スタジアムではB組1位ニュージーランドとA組2位アイルランドが対戦。初のベスト4進出を狙ったアイルランドだったが、序盤から防戦一方となり、結局14-46という大差で敗れた。

アイルランド主将のHOロリー・ベスト【写真:荒川祐史】
アイルランド主将のHOロリー・ベスト【写真:荒川祐史】

代表キャップ数124、W杯4大会連続出場のベストを包むリスペクト

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は19日、準々決勝を迎え、東京スタジアムではB組1位ニュージーランドとA組2位アイルランドが対戦。初のベスト4進出を狙ったアイルランドだったが、序盤から防戦一方となり、結局14-46という大差で敗れた。

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 試合後、今大会で限りでの代表引退を表明していた“闘う主将”、HOロリー・ベストには、東京スタジアムを埋め尽くした4万8656人の観客から万雷のスタンディングオベーションが送られた。両チームからはベスト一人のためだけに花道が作られる粋な心遣い。W杯には4大会連続出場、代表キャップ数124、14年の代表生活に幕を下ろしたベストは、アイルランドの象徴でもあった。

 政治や宗教の壁を越え、アイルランド共和国と北アイルランドが一つになったアイルランド代表チームで、ベストは数少ない北アイルランド出身の選手だ。2005年11月のニュージーランド戦で代表デビュー。2016年に主将を拝命してからは、ジョー・シュミット・ヘッドコーチ(HC)の指揮の下、それまで28連敗していたニュージーランドから初勝利を飾ったり、世界ランク1位に輝いたり、チームのために尽くした。

 口数は多い方ではなく、実直を絵に描いたような人物。フッカーとして最前線でスクラムを支え、ラックやモールといった密集戦には先陣を切って飛び込んでいく。地元記者によれば、その仕事人と呼ぶにふさわしいプレースタイルが、武骨なアイルランド気質に響くのだという。

 この日、東京スタジアムの客席では緑のジャージが黒のジャージを圧倒した。試合前に代表アンセム「Ireland’s Call」が大合唱された時、ベストは自ら歌わずに降り注ぐような歌声を、感情を押し殺すような表情で一身に浴びていた。アイルランド代表にとって至上命題とも言える4強進出のかかった一戦。この試合のために4年間準備してきたはずだったが、結果は呆気ないものとなってしまった。

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