3連勝の夜、4万人が姫野和樹の名を叫び続けた 日本のNO8を成長させた「濃い2年間」
フィールド外では読書家、全てはラグビーのために
自分より年上のチームメートたちに認めてもらい、トヨタの“顔”として外に出ても恥ずかしくないキャプテンになるために――。姫野は人としての引き出しを増やすため、本を読んだ。最初は「海賊と呼ばれた男」(百田尚樹著)。この1冊をきっかけにリーダーシップ論について説く本や自己啓発本、小説などジャンルは問わず読書を続けている。最近読んでいるのは、同じく百田氏著の「日本国紀」だ。これを選んだ理由は、ある人物のアドバイスからだった。
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「代表チームにいるメンタルコーチが『己を知る、先祖を知ることが強さに繋がる』という話をしていたんです。日本人はどういう種族なのか、どうして日本人の勤勉さや真面目さ、礼儀正しさが生まれたのか、どういう歴史が背景にあるのか。それを考えた時に『日本国紀』という本がいいかなと思って読んでいます。日本人は昔から続く育ち方や文化があるから、今の強さに繋がっていると思うと、すごく誇らしく思うし、もっと強くなった気がしますね」
日本人であること、日本が持つ文化を誇りに思う姫野は、ラグビーの文化もまた愛してやまない。「本当にラグビーというスポーツが面白いって純粋に思いますし、ラグビーの文化が好き。仲間を大切にするとか、規律を守るとか、相手をリスペクトするとか、そういったことを公言しているスポーツはなかなかないと思います」。
1次リーグ敗退が決まったサモア。この日の試合直後、4万大観衆のわずか一画を埋めたサモアファンの元へ、両チームの選手たちは向かった。そろって日本文化のお辞儀。この光景に日本のファンからも惜しみない拍手が注がれ、健闘を称え合った。
最高の結果で終えたジャパン。悲願の8強へ、天王山は13日のスコットランド戦となる可能性が高い。日本の屋台骨となる25歳は大きな胸板を、さらに膨らませた。「必ず勝ちたい、というか勝ちます。全勝でいい流れを保って決勝トーナメントにいきたい。やることは変わらない。自分たちにフォーカスしてやるだけなんで」。頼れる男の背中は、夢舞台で一層大きく成長していく。
(THE ANSWER編集部)