大坂なおみは大阪で何が変わったのか 15歳から知る“恩師”は「心の成長」を見た
コートの父・フランソワ氏との会話は「目標が常に明確か確認」
8月末に開幕した全米オープン前から、持ち前のパワーテニスに改良を加えてきた。縦回転をかけて高い位置から落とすショットの技術を磨いた。これまで不安定な精神面も加わりミスで自滅しがちだったが、安定感を得ようとしている。
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「取り組んでいることが形になってきている。相手もこれだけの高いレベルのボールを確実に入れられると、プレッシャーになる。その小さなプレッシャーでの積み重ねが、大事なところでの相手のミスを引き出していたり、逆になおみがいいプレーをすれば、それでポイントが獲れる。特に(準決勝の)メルセンスとの試合はできていた」
今月13日にコーチだったジャーメイン・ジェンキンス氏との契約解消を発表。今大会から父のレオナルド・フランソワ氏がサポートした。練習から2人で会話を多く交わし、その内容について吉川コーチは「彼女のテニスの方向性ですね。いつも同じところにゴールがあって、その上で一つ一つ何をするか。目標が常に明確になっているかという確認」と一端を明かした。
ミスでポイントを失った瞬間にくるりと振り返り、次のサーブ、あるいはレシーブポジションに向かって歩き出す。ラケットを叩きつける瞬間もいくつかあったが、ほとんどの失点時は気持ちをすぐに切り替えようとしていた。一喜一憂の波が少なくなったのかもしれない。
破壊力のあるテニスに、冷静さを兼ね備えつつある大坂。1月の全豪オープン以降は2度のコーチ変更、ウィンブルドン初戦敗退などを経験してきた。吉川コーチは「いろんな時期を過ごして、彼女自身、成長していますから。いろんな経験をして、心の幅が広がっていると思いますね。もちろん、テニスとリンクするところがありますし、彼女がそうやって少しずつ幅を広げていっている」と“心の成長”を実感した。
すでに4大大会を2度制した「技」「体」は言うまでもなく、「心」も手に入れようとしている。成長を止めない21歳の未来は、大きく広がりそうだ。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)