「全てが今の私に生きている」 大坂なおみが振り返る、栄光と凋落で得た8か月の経験
周囲の喧騒にも「慣れてきた」、当初は戸惑いも…
取り巻く環境の変化への「アジャスト」。昨年の東レは全米オープン優勝から間もない“なおみフィーバー”の真っただ中だった。快挙を成し遂げた選手に降りかかる宿命とも言えるかもしれない。急に沸騰した注目度の高さに戸惑いもあったが、この1年で「アジャスト」してきた。21歳の成長だ。
「(今大会は)いろんなことに感謝する気持ちを持って臨むことができた。去年は決勝に進んだけど、ここまで来て当然と思っていた。マスコミの方に注目を受けるのもそれまではあまりなかった。私自身、それに慣れてきて、より試合に集中できるようになった」
3歳まで過ごした大阪での優勝。コーチを務めていたのは、幼い頃と同じく父だった。コーチを変えた初戦でいきなり挙げた勝利の味は、再び世界一の座に舞い戻るきっかけになるのか。そんな期待を込められた問いに、本人は慎重だった。
「ちょっとその点についてはわからない。というのも、これが初めての優勝ではないから。ただ、もちろん一番スペシャルに感じる大会で、この優勝がスペシャルなことであるのは間違いない。この大会はずっと優勝したいと思っていたので」
世界の頂点に立っておよそ1年。コーチ2度変更、初戦敗退、膝痛、その都度生まれた周囲の喧騒……。変わり続ける環境を痛いほど経験し、8か月ぶりの復活V。4997人の故郷のファンは祝福のウェーブでフィナーレを飾った。渦の中心から360度を見渡す笑顔は、幸せそうに輝いていた。この1年で多くの財産を手にしたのかもしれない。大坂は言い切った。
「全てが今の自分を作り上げてきた。全てのことが今の私に生きている」――。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)