初出場で光った姫野のフィジカル ロシア突破の113m前進「自信を持ってやっている」
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が20日に開幕し、日本は開幕戦でロシアに30-10と快勝した。この日は3トライを決めたWTB松島幸太朗の活躍が際立ったが、ボールキャリーでゲインした距離でスピードスターを上回ったのが、W杯初出場のNO8姫野和樹だった。
ボールキャリー数、キャリーメートル数でチームトップを記録
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が20日に開幕し、日本は開幕戦でロシアに30-10と快勝した。この日は3トライを決めたWTB松島幸太朗の活躍が際立ったが、ボールキャリーでゲインした距離でスピードスターを上回ったのが、W杯初出場のNO8姫野和樹だった。
日本を率いるジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は、大事な開幕戦の先発にアマナキ・レレイ・マフィではなく姫野を選んだ。NO8は攻撃でも守備でもチームの要となる重要なポジション。「最初はちょっと硬くなってしまった」という姫野は、ロシアのキックオフでノックオン。「本当に最初にミスして、結構メンタル的にもきました」と言うが、「ただノックオンして吹っ切れたところもある」と、ここから自分らしさを出すことだけに専念した。
モールやラックの密集からボールを拾い上げて、そのままロシア陣内に攻め込むピック&ゴーを重ねた。重量級のロシア選手を相手にしても当たり負けせず、必死で止めようとする大男たちを引きずりながら前に進んだ。16度のボールキャリー、113メートルのゲインは、いずれも松島を上回り、この日チームトップを記録。試合後は「ボールキャリーは元々自信を持ってやっている。あとは自分の持ち味を出せるような場面を作れるようにしっかりやるだけ」と頼もしく語った。
4年前のイングランド大会は、その年の代表合宿に参加しながら選を漏れた。当時はまだ帝京大に所属。日本代表の活躍をテレビで見ながら、次回こそは自分がW杯の舞台に立つという想いを強めた。トヨタ自動車ではキャプテンにもなり、この4年で一回りも二回りも大きく成長。夢を夢で終わらせぬ強さを見せた。試合前の国歌斉唱では「4年間やってきたことが走馬灯のように浮かびました。メチャクチャうれしかったですね」。気が付いたら「本当に自然に涙が流れてきちゃって」という25歳は、「そこの気持ちの上がり具合が高すぎたので、そこは自分がメンタルをコントロールしないといけないですね」と笑った。
次戦は28日、世界ランク1位に躍り出たアイルランドに挑みかかる。
「次のアイルランド戦はタフな試合だと思いますし、一番大切な試合だと思うので、そこに全てをぶつけられる準備をしていきたいです」
ひたむきに前に進む姿勢で、世界一の壁も突破してみせる。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)