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菊谷崇×廣瀬俊朗・後編 今明かす4年前の真相、南ア撃破の裏にあった“ビデオ”の意味

2020年の東京五輪へ23年のフランス大会へ、レガシーをどう残すか

――この盛り上がりをW杯後も継続させるということも大会後の課題かと思いますが、今後へ向けては何が必要なのでしょうか。 

菊谷「W杯は4年に1回のお祭り。特に初めての日本での開催ですから、大会後に熱が冷めるのは仕方ないところ。でもそこでラグビーの文化、レガシーをどう残すのか。裾野を広げてラグビー人口を増やさないといけないとか、もちろん色々と取り組むことはあります。個人的にはラグビー文化というのをみんなが受け入れてほしい。(前編での)ビールの話ですけど、気軽に楽しさを分かち合えるスポーツです。それが浸透していけばレガシーとして残るのかなと思う。

 日本に来たすべての国を応援してほしいし、特に注目してほしいのが、試合前の国歌斉唱。ほかのスポーツ以上に気持ちが入る時間なんです。あれを見るだけでも何か感じられるものがあるはず。そういうものをみんなで共有することで、ラグビーの魅力がわかるのかなと思います。来年には東京五輪もありますし、そういうものがつながっていけばいいのかなと」

廣瀬「目に見えない部分が大事なのかなと。キクさんが言ったこともそうですし、やはり2020年に繋げたいのはある。ラグビーW杯でスポーツってやっぱり魅力的やなとか、改めていいな、携わりたいなという人が増えてほしい。そして東京五輪が盛り上がったらいいなと。ハード面でいうと、キクさんがやっているアカデミー(ブリングアップラグビーアカデミー)のような、ちゃんとした指導者から学べるものが増えてほしいなと。ラグビーをやりたい子どもができるような場所が増えてほしいです」

菊谷「今大会が終わってすぐじゃなくても、(2023年の)フランス大会の前になった時に、4年前や8年前と比べて凄いなとか、それくらいのものだと思います。今になってみて(8年前の)2011年(ニュージーランド大会)とは全然日本での盛り上がりが違う。そうやって少しずつ、日本のラグビーが強化されて、文化として浸透もしてきた。終わって1か月、半年で見えるものじゃない。次のフランス大会の時に今よりもまた少し、ラグビーが日本の文化になっていればいいなと。もちろん、今大会をきっかけにラグビーを始める子どもが増えたり、大人がラグビーを見るようになったりすれば最高ですけどね」

菊谷 崇(きくたに・たかし)
1980年2月24日、奈良県生まれ。御所工業高から大阪体育大に進み、トップリーグのトヨタ自動車ヴェルブリッツでプレー。イングランドのラグビーチーム、サラセンズでプレーした後、キヤノンイーグルスに移籍した。ポジションはNO8、フランカー。15人制と7人制ともに日本代表経験を持ち、15人制代表デビューは2005年11月5日のスペイン戦。2008年より主将を務め、2011年ワールドカップでは主将としてチームを率いた。日本代表キャップ数「68」。2018年に引退。現在は「ブリングアップラグビーアカデミー」を主宰するほか、ラグビー日本代表のU-20代表、高校代表などユース世代の代表コーチも務める。

廣瀬 俊朗(ひろせ・としあき)
1981年大阪府吹田市生まれ。5歳のときに吹田ラグビースクールでラグビーを始め、大阪府下有数の進学校、北野高校でもSOで活躍して慶大―東芝と、所属するチームですべて主将を務めた。東芝時代はWTBでも、司令塔を兼務する独自のスタイルで、チームのトップリーグ制覇に貢献。2007年に日本代表入りして、12年には、エディー・ジョーンズHCが就任後に主将に任命。2015年ワールドカップ後のオフシーズンに現役を引退。東芝のBKコーチなどを務め、今年2月に退任と同時に東芝を退社。ドラマ「ノーサイドゲーム」での演技も好評。

(THE ANSWER編集部)


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