村田諒太、再戦への道で気づいた“新境地” 「早くリングに上がりたい」の真意とは
エンダム戦と異なる心境の理由は?
2012年ロンドン五輪で金メダル。他のボクサーと違い、プロデビューから常に期待と重圧を背負ってきた。特に世界王者となった17年10月のアッサン・エンダム(フランス)との再戦は「あれを経験したら怖いものはない」と振り返るほど、プレッシャーに押しつぶされそうになった。試合のたびに「早くリングに上がりたい」という気持ちになったが、今回は中身が大きく異なるようだ。
生き残りを懸けた大一番をも待ち遠しいと思えるのは、充実した練習ができている証拠。「ボクシング(の内容)がいい。(精神状態は)調子と比例する。すごくいい練習ができている」。この日もハイテンポで動くトレーナーのミットを軽快な動きで捕らえ続けた。
ウオーミングアップにも変化がある。ストレッチ、スパー前の準備にかける時間がこれまでより長くなった。「スパーリングする時もウオーミングアップの時間を取るようになった。結構すぐにスパーをやっちゃうタイプでしたけど、しっかり1ラウンド目から動ける体を作ることをテーマにして取り組んでいる。その辺りも含めてうまくいっている」
33歳になっても試行錯誤、改善を繰り返す日々。自身のサポーターズクラブ公式ホームページでは、決戦に向けたナイキ社の応援Tシャツの販売も始まった。胸に刻まれる文字は「JUST DO IT」。ブラント戦まで残り半月、後悔のないようにやるしかない。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)