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代表98キャップの”鉄人”大野均が今、明かす 4年前、南アフリカに勝てた本当の理由

強豪国とのテストマッチ増加が進化を支えると大野は語った【写真:吉田宏】
強豪国とのテストマッチ増加が進化を支えると大野は語った【写真:吉田宏】

強豪国とのテストマッチ増加が進化を支える

 試合ベースでチームが強化されている。ここに、4年前には、願っても叶わない環境がある。長らく代表で戦ってきた大野は、この“環境”こそが強化を推し進めていると捉えている。

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「いちばん大きいのは、世界の、それこそトップ3との試合が毎年できていることです。ここが以前と違うところ。2011年ワールドカップでオールブラックスと対戦したときは80点とられて負けました(7-83)。でも、こんな点差が開くほどの実力差は感じなかったというのが率直な感想だった。ただ、あの時の自分たちは、オールブラックスを過大評価しすぎていた。世界一のチームとの試合に、どこかで“勝てるわけない”と勝手に思い込んでしまっていた。

 だから普段はしないような簡単なパスミスだったり、向こうにイージートライを取られて点差が広がっていったんです。勝手に自信を失くしたという試合でしたね。もしあのとき、2年に1試合でいいから南アフリカでもイングランドでも、普段からオールブラックスとバチバチやり合っているレベルの相手と試合をして、体をぶつけることができていれば、あそこまでスコアは開かなかったと思います」

“日本人だから”勝てないのではなくて、世界の強豪との試合経験が少ないから勝てない。テストマッチ98キャップを持つレジェンドの発言だからこそ説得力がある。世界トップクラスの強豪と戦うことで得られるのは80分間の試合の経験だけではない。キックオフを迎えるまでの準備段階から抱く緊張感やプレッシャーを肌で感じることも重要なのだ。

「15年までの4年間も、エディーさんが毎年しっかりと強豪との試合を組んでくれていた。でも、いまの代表は当時の自分たちが1年に1度だった強豪国との試合を、それこそ年に2試合、3試合やれています。それってすごく大きなことなんです」

 11年大会までの4年間は、日本代表はワールドカップ8強クラスの強豪と試合を組めていない。エディー・ジャパンが15年大会までに戦ったのは5試合。そして、この4年間では、ワールドカップ開幕直前の9月に戦う南アフリカ代表を含めると13試合と試合数は飛躍的に増えている。いまでも現役を続ける大野の目には、過去には経験できなかった羨ましいほどの強豪に胸を借りて強化が進められていると映るのだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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