過去最強布陣も中国に完敗 悔しい帰国に桃田賢斗「中国は強い。このままではダメ」
2年に一度行われるバドミントンの男女混合国別対抗戦「スディルマンカップ」(中国、南寧)で準優勝した日本代表が27日に帰国し、記者会見に臨んだ。目標だった初優勝を果たせず、男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)が「ここ一番での中国選手の強さを知って、このままではダメだと思った。大事なところで守備に回る時間が長く、攻撃に回る好機を作れなかった」と話したように、選手たちは言葉に悔しさをにじませた。
準優勝のスディルマンカップから帰国、空港での会見では悔しさにじませ
2年に一度行われるバドミントンの男女混合国別対抗戦「スディルマンカップ」(中国、南寧)で準優勝した日本代表が27日に帰国し、記者会見に臨んだ。目標だった初優勝を果たせず、男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)が「ここ一番での中国選手の強さを知って、このままではダメだと思った。大事なところで守備に回る時間が長く、攻撃に回る好機を作れなかった」と話したように、選手たちは言葉に悔しさをにじませた。
男子シングルス1位の桃田、女子ダブルス1位の松本麻佑、永原和可那組(北都銀行)ら各種目に世界ランク上位者を擁する日本は、過去最強の陣容で挑んだ。初戦のロシア戦こそ最終種目までもつれて苦戦したが、以降は各種目の起用選手をローテーションしながら勝ち上がり、選手層の厚さを示した。
しかし、過去最多10度の優勝を誇る開催国の中国との決勝戦では、まさかの完敗。最初の男子ダブルスで敗れると、続く女子シングルスで山口茜(再春館製薬所)が逆転負け。桃田も逆転負けを喫して1勝も挙げられなかった。
準優勝は、2015年に並ぶ過去最高タイの成績だが、笑顔の少ない会見だった。山口は「今回は、個人的にも悔しい思いをたくさんする大会になったけど、内容も結果も受け止めて、次につながるように頑張りたい。プレッシャーや緊張感がある中で、もっと堂々とプレーできるように頑張りたい」と悔しがった。
声が枯れ気味の選手も多く、応援を含めて一丸で戦ってきた結果。チームの主将を務めた男子ダブルスの嘉村健士(トナミ運輸)は「この場で優勝報告できれば良かった。全員が悔しい思い。試合に出ていない人も含めて、全力でやった結果。これからもバードジャパン(バドミントン日本代表の愛称)として、みんなで頑張っていく」と現実を受け止め、次の一歩を踏み出す姿勢を見せた。
副主将の高橋は気概示す「私自身は、優勝した中国から学ぶことがたくさんあった」
2020年東京五輪に向け、中国は、やはり強敵だと再認識させられる大会だった。過去の対戦成績で分の良い3つのカードで全敗のショックは、小さくない。副主将を務めた女子ダブルスの高橋礼華(日本ユニシス)は「すごく悔しい思いをしたけど、私自身は、優勝した中国から学ぶことがたくさんあった。決勝戦をベンチから見ていて、やっぱり中国の力強さやここぞというときの勝負強さをあらためて実感した。自分も中国の選手のような試合をできたらと思った」と今大会の経験を進化の糧とする気概を示した。
期待が大きかっただけに、中国戦の完敗はショックだ。しかし、東京五輪という大舞台に向け、失意に暮れているわけにはいかない。会見の終盤、若手で男子ダブルス、混合ダブルスの2種目で出場した渡辺勇大(日本ユニシス)が「もっとPOWERをつけてMUSCLEになりたいと思う」と英語の発音を交えておどけると、選手にようやく笑顔が見えた。
4月末から2020年東京五輪の出場権獲得レースがスタートしており、今後は、個人戦に集中する。朴柱奉ヘッドコーチは「これからの五輪レースで個人戦がたくさんあるし、8月にはスイスで世界選手権もある。1回リセットして、次は絶対に勝てるように頑張ると思う」と日本代表選手の巻き返しに期待をかけた。かつてないほどの力を付けた日本だが、やはりライバルの中国は、手強い。東京で金メダルをつかむため、悔しさを糧にさらなる進化を目指す。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)