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「日本レスリングを変えたい」パリ金の日下尚が語る危機感 独リーグで衝撃…異次元の人気

インタビューに応える日下【写真:荻島弘一】
インタビューに応える日下【写真:荻島弘一】

ドイツで感じた文化の違い…日本では「世界選手権2位でも何も…」

 競技面だけでなく、スポーツ文化の違いにも刺激を受ける。試合は派手にショーアップされ、マットの周りを埋めるファンの声援も熱い。体育館の周囲に看板1つなく、ひっそりと行われている全日本選手権とは別次元。「ドイツでは興行として行われ、ファンもいる。同じようには難しいだろうけど、日本も変わってほしい」と日下は言う。

 日体大が築いてきた欧州とのパイプが、ブンデスリーガへの選手派遣につながった。一昨年は日下だけだったが、今年は現役の学生やOBなど8人が参戦。それぞれのチームで技を磨いてきた。「毎週海外の選手と試合ができるのは、いい経験になる。生活面も含めて、得るものは多いはず」と、日体大の松本慎吾監督は派遣の狙いを説明した。

 世界での経験を踏まえ、日下は日本レスリングのメジャー化を視野に入れる。この日、来年の最大の目標として、9月に名古屋で行われる「アジア大会」を掲げた。「メディアが集まった場で勝たないと意味がない。世界選手権で2位になっても何もない。それが現実」。だからこそ、レスリングを注目される競技にしたい。「選手たちは血ヘド吐きながら努力しているので」と言い切った。

 ブンデスリーガ参戦を通して海外のレスラー仲間も増えた。これも日下の、そして日本レスリング界の財産になる。「将来的には日本のレスリングを変えたい」。日下は、28年ロサンゼルス五輪での連覇とともに壮大な目標を掲げた。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)



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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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