箱根5区に「神様を作りたくない」 考える選手の将来…“5強”以外で警戒される伏兵の独自戦略――帝京大・中野孝行監督
来年1月2、3日に行われる第102回箱根駅伝は、3連覇を目指す王者・青学大、出雲駅伝を制した國學院大、全日本大学駅伝を制した駒大に加え、前回大会4位の早大と同5位の中大が“5強”を形成するが、本命不在の混戦模様。そんな中、ダークホースの一角に挙げられるのが19年連続27度目の出場となる帝京大だ。「5強崩し」という目標を掲げながら、中野孝行監督は「選手の成長に繋げる」というスタンスを崩さない。山上りの5区に「神様を作りたくない」と独自の戦略を貫く理由とは。(聞き手=佐藤 俊、前後編の後編)

箱根駅伝注目校インタビュー 帝京大・中野孝行監督/後編
来年1月2、3日に行われる第102回箱根駅伝は、3連覇を目指す王者・青学大、出雲駅伝を制した國學院大、全日本大学駅伝を制した駒大に加え、前回大会4位の早大と同5位の中大が“5強”を形成するが、本命不在の混戦模様。そんな中、ダークホースの一角に挙げられるのが19年連続27度目の出場となる帝京大だ。「5強崩し」という目標を掲げながら、中野孝行監督は「選手の成長に繋げる」というスタンスを崩さない。山上りの5区に「神様を作りたくない」と独自の戦略を貫く理由とは。(聞き手=佐藤 俊、前後編の後編)
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――駅伝での5強崩しというのは、選手主導で立てた目標でしょうか。
「そうです。ただ、正直なところ5強を崩すには、上にいる青学大や駒澤大、国学大を倒して優勝を目指すぐらいの練習をしないといけないというのは伝えました。あとは、もう後方支援するだけですね。全日本の時は、1週間前の調整がうまくいって、目標は5位内だったんですけど、これは3位も目指せるなと思いました。でも、その時はあえて言わなかったんです。余計なプレッシャーになるので。たぶん、調整がもうひとつでも下方修正はしなかったと思います。やる前から引くのではなく、やらせてみて、選手の成長に繋げることが大事かなと思いますので」
――全日本大学駅伝は、柴戸遼太選手(4年)を1区に置きました。走力と経験から後半区間かなと思ったのですが、起用の意図は、どこにあったのですか。
「柴戸は、昨年、春先に故障して関東インカレに出られませんでした。むりやり合わせた全日本大学駅伝予選会は1組目に出したけど、ダメ(23位)で夏合宿もケガして、出雲には出さないので『全日本に合わせなさい』という話をしたんです。それでも難しいなと思っていたのですが、本人がやりたいというのと周囲の推しもあったので出したんです。結果、11位に終わり、箱根は微妙かなと思っていたらその2週間後に28分26秒出したんです。それで私も勘違いして3区に置いたら17位で大ブレーキしたんです。継続して練習が出来ていなかったので、全体的に錆びついていたんです。だから箱根を終わった後、レースを気にせず、練習を積み重ねることに集中しなさいと伝えました。そうしたらこの夏ぐらい錆が落ちて来て、起用の目処がついたという感じでした」
――柴戸選手以外に候補はいたのですか。
「島田(晃希・4年)や原(悠太・3年)が候補でした。ただ、彼らを1区に起用すると1区と2区のセットでトップになっていないといけない。だが、彼らを後ろの区間に置くことで柴戸には『うしろも強いから気楽に走ろう。トップじゃなくてもいいから秒差で来いよ』と伝えることができました。それで多少は気が楽になったんじゃないかなと思います。ただ、レース中、先頭集団から離れた時はトップと30秒ぐらい差がつくかなと思ったんです。でも、キャプテンとしての意地と我慢の走りをして12秒差で来てくれた。これが楠岡(由浩・3年)の区間賞に繋がったのかなと思います」
帝京大は、出雲駅伝8位、全日本は6位と順位を上げてきた。個でも成長が著しく、とりわけ楠岡は大学トップクラスのランナーのひとりになった。
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