侍Jから2戦連発、韓国22歳の素顔 兵役中に同世代が免除「早く除隊して…」 笑顔の裏に“苦闘時代”
歩兵師団で知った仲間の金メダル「いい選手になりたい…」
韓国の男性には兵役の義務がある。負傷歴や国家への貢献などで免除されることもあるが、これをいつ消化するかはいつの時代もスポーツ選手にとって大きな悩みだ。アン・ヒョンミンは2022年にドラフト4位で韓国プロ野球のKT入り。ただこの年の8月に軍に入隊し、韓国北部の江原道にある第21歩兵師団に配属された。そして2023年の10月、韓国代表が中国・杭州で行われたアジア大会で金メダルを獲得したというニュースが入ってきた。
優勝メンバーは兵役が免除される。同年代の選手も多く、様々な思いが胸をよぎった。「軍隊にいたときは、大きなことは当然考えられません。でも同い年の選手たちがすごく野球がうまいのを見て……。私も早く除隊して、また同年代の選手たちと一緒にいい選手になりたいと思いました。本当に」。
18カ月の兵務を終え、2024年の2月に除隊。昨季は1軍と2軍を行ったり来たりしながら、時折光る長打力を見せた。ファンの間では太い首と筋骨隆々の上半身が、マイク・トラウト(エンゼルス)を連想させると言われるようになった。そして今季はリーグ2位の打率.334、22本塁打と大爆発。初めて招集された韓国代表でも実力を見せつけた。若返りを進める韓国代表の、象徴となった感すらある。ここまで急速な進化は、本人にも予想外だった。
「何といえばいいか、突然現れた選手だと思うんです。私もファンの皆さんも、代表に選ばれるなんて思ってなかったのではないでしょうか。自分で言うのも変ですが、彗星のごとく現れた選手だったので」
将来は大リーグに挑戦したいという野望を抱く。東京ドームでの試合には、多くの球団がスカウトを送り込んでいた。質の高い日本の投手を打ち砕いたのは、格好のアピールでもある。
日本の投手を「とても良い投手ですし、良い投手と対戦できたと思います」という一方で「ただ、対応するのが難しいとは思いません。先発投手がもう少し長く投げるような場面があれば、もっと対応できたかもしれない。どうにもならないとは思っていません」とも。前向きなライバル心は、さらに進化を促しそうだ。
来年3月、日本はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンドで再び韓国と対戦する。この男が警戒対象の筆頭にいるのは、間違いなさそうだ。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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