都内で会見、2013年以来の年間4試合

　ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥（大橋）が、12月27日にWBC世界同級2位アラン・ピカソ（メキシコ）との防衛戦を行うと正式発表された。7日、都内で会見に出席。試合はサウジアラビアの首都リヤドで開催される大型興行「The Ring V: Night of the Samurai（ナイト・オブ・ザ・サムライ）」のメインイベントとなる。井上にとって12年ぶり、異例の年間4試合目。同興行には井上と来春対戦が計画されている前WBC、IBF世界バンタム級統一王者の中谷潤人（M.T）ら日本人ボクサーが集結する。

　登壇した井上は「いよいよ出られるという心境。世界に向けてのアピールにもなるし、来年の5月、ビッグマッチを予定しているが、そこに向けても大事な試合になる。気合を入れて挑みたい」と気合の入った表情で語った。

　相手のピカソについては「前回のムロジョン戦に続き、ピカソ仕様というボクシングを見せたい。印象は好戦的で、楽な戦いにはならないかな」と警戒した。

　当初、井上―ピカソ戦は今年5月に米ラスベガスで開催されることが有力視されていた。しかし、ピカソ陣営が対戦を辞退。ラモン・カルデナス（米国）との防衛戦に変更となった経緯がある。戦績は32歳の井上が31勝（27KO）、25歳のピカソが32勝（17KO）1分。

　9月に行われた前戦で井上は、ムロジョン・アフマダリエフ（ウズベキスタン）に3-0で判定勝ち。着実にダメージを与え続け、最終12回まで全く隙を見せずに完封した。この試合で元世界ヘビー級の伝説王者ジョー・ルイス、元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザーに並ぶ世界戦最多の26連勝。5度目の4団体同時防衛はサウル・アルバレス（メキシコ）を超える世界最多となった。

　2025年は1月にキム・イェジュン（4回KO勝ち）、5月にカルデナス（8回TKO勝ち）、9月にアフマダリエフ（3-0判定勝ち）と既に3試合をこなしており、これが4試合目。井上にとっては2013年以来、12年ぶりと異例のペースになる。来年5月には東京Dで中谷と対戦が計画されており、負けられない試合だ。

　この興行では31戦31勝（24KO）の中谷が、WBC世界スーパーバンタム級9位のセバスチャン・ヘルナンデス（メキシコ）と対戦。ヘルナンデスも20戦20勝（18KO）と無敗の強敵だ。さらに前WBA＆WBC世界フライ級統一王者の寺地拳四朗（BMB）がIBFスーパーフライ級王者ウィリバルド・ガルシア（メキシコ）と対戦。世界3階級制覇を目指すほか、今永虎雅（たいが、大橋）、堤駿斗（志成）、堤麗斗（志成）が出場。日本人選手が6人揃う。また、興行はNTTドコモの動画配信サービス「Lemino」で国内独占生配信される。

　中谷は「バンタム級で統一してしっかり結果を残してきた。体重もきつくなってきていたし、体重的にスーパーバンタム級の方がよりいい戦いができると思い階級を上げた」とコメント。相手の印象については「すごくパンチがあって集中力がいるという思いと、これまでもたくさん無敗の選手と戦ってきたので、しっかり自分のボクシングをして黒星をつけたい」と語った。