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ドラフトの目玉が襲われた重圧の40分 表情変わらず…仕草にも滲んだ解放感「やっとこの世界に」

プロ野球のドラフト会議が23日、都内で開催された。今年の目玉とされた創価大の立石正広内野手(4年)は、1位入札で阪神、広島、日本ハムの3球団が競合。抽選の結果、阪神が交渉権を獲得した。表情に緊張感を漂わせた立石だったが、会場入りからおよそ40分後、重圧から解き放たれる瞬間を迎えた。

阪神のドラフト1位・立石正広【写真:橋本啓】
阪神のドラフト1位・立石正広【写真:橋本啓】

大学No.1スラッガー立石、3球団競合で阪神から1位指名

 プロ野球のドラフト会議が23日、都内で開催された。今年の目玉とされた創価大の立石正広内野手(4年)は、1位入札で阪神、広島、日本ハムの3球団が競合。抽選の結果、阪神が交渉権を獲得した。表情に緊張感を漂わせた立石だったが、会場入りからおよそ40分後、重圧から解き放たれる瞬間を迎えた。

 終始、その表情は硬かった。

 報道陣や硬式野球部員、学生で埋まった大学内の会見場。午後4時36分、立石が壇上に姿を現し、着席した。会場真正面のスクリーンにはドラフト会議の中継が映され、指名が噂される球団関係者の姿が映ると、場内は拍手と歓声で賑わったが、立石は緊張の面持ちで画面を見つめていた。

「やっぱりスーツを着たあたりから緊張して、この会場入った時にいろんな方が拍手してくださったのでドキドキしました」

 1巡目、広島から立石の1位指名が伝えられる。その瞬間、口元をぎゅっと噛み締めるような動きを見せたが、表情は硬いまま。日本ハム、阪神と続いて指名を受けると、会場内からは大歓声が沸き起こる。ただ、立石は変わらず。じっと静かに現場の様子をうかがうだけだった。

 その表情がようやく崩れた。阪神の藤川球児監督が当たりクジを引き当てた瞬間、会見場から大歓声が沸き起こる。立石の頬は緩み、右手の甲付近で鼻をこすりながら軽く頷いているようにも見えた。

 テレビ画面越しで、藤川監督から「一緒に頑張りましょう」と告げられると笑顔に。午後5時19分、ここで初めて水を口に含んだ。会場入りからおよそ40分、緊張からようやく解き放たれた瞬間だったようにも見えた。

「一瞬で決まっちゃったんだなと。どこだったから嬉しいとか嫌だったとか、そんなのは全くなくて、もうほんとにそこで1回決まったわけなので、やっとこの世界に入ったなっていう実感が来ました」

 その時の心境を問われ、笑顔でこう明かした立石。自らの命運を左右する、長い長い一日を経て、大学No.1スラッガーが新たな道を切り開いた。

(THE ANSWER編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)


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