指名漏れでも感じさせた“東大生気質”の変化 号外消えた学内新聞記者が指摘「個人で新しい道を…」
プロ野球のドラフト会議が23日、都内で行われた。東京六大学リーグの東大からはプロ志望届を提出した渡辺向輝投手、酒井捷外野手が文京区の同大で指名を待ったが、吉報は届かなかった。会見場には約30人の報道陣に加え、東大新聞の記者も4人体制で集結。2選手の行動には、東大生気質の変化も感じているようだ。

東大から2選手がプロ志望届
プロ野球のドラフト会議が23日、都内で行われた。東京六大学リーグの東大からはプロ志望届を提出した渡辺向輝投手、酒井捷外野手が文京区の同大で指名を待ったが、吉報は届かなかった。会見場には約30人の報道陣に加え、東大新聞の記者も4人体制で集結。2選手の行動には、東大生気質の変化も感じているようだ。
ドラフト開始から3時間、約30人が集まった東大の会見場に、歓喜の声が響くことはなかった。東大からプロ野球に進んだのは過去6人。最後は2017年に日本ハムから7位指名された宮台康平投手だ。渡辺と酒井が指名されれば、8年ぶりという大事件だった。月1回発行される東大新聞の編集部からも、4人が会見場でその時を待った。
野球をはじめとした運動部を担当している吉野祥生さん(2年)によると、駒場キャンパスで号外の発行まで想定しての態勢だったという。また「普段神宮球場での取材は2人なんですが、希望者が多くて……。毎年あるわけではないので」という一面も。学校の歴史を変えるかもしれない現場に、興味津々だった。
今年は2人がプロ志望届を提出したが、近年東大野球部からは社会人野球に進むなど、ひとつ上のレベルで野球を続ける選手も増える傾向にある。これについても吉野さんは「チームで勝ち点を取ることももちろん重要なんですけど、個人で新しい道を切り開いていくのも大切なことだと思うんです」と歓迎している。東大生というステレオタイプから外れ、新たな価値を創造するチャレンジにも意味があるというのだ。
渡辺は会見場には現れなかったものの、全ての指名が終わった後に自身のXで「野球を引退し、来春からは一人の未熟な人間として一般企業に就職し、社会に出ることになります」と明かした。
「残念ながらドラフトで指名を受けることはできませんでした。自分なりにさまざまな試行錯誤を重ねてきましたが、指名という形で結果を出すことができず、自分の実力不足を痛感しております」という言葉には無念の思いがにじむ。
ただ、野球という一つの道を究めようと重ねてきた工夫は、間違いなく野球部内外の学生に勇気を与えている。2選手は25日から行われる法政との秋季リーグ最終節で、集大成を見せてくれるはずだ。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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