「もう30歳だよ。ヤバくない?」 同級生に続いた木村彩子のV、女子ゴルフ「石ころ世代」の逆襲

スイングのトップをコーチともに改造
木村は南秀樹コーチと出会い、南氏が拠点とする香川県内に転居。22年6月のアース・モンダミンカップで初優勝を飾った後、さらに進化するために、23年シーズン途中から「スイングのトップを高くする」ことに取り組んだ。
「私は低いトップを長く続けていて、こだわりも強い方なので『これ、気持ち悪いです』と言ったんです。でも、南コーチは『やらな、しょうがないんや』と言うのでやり続けました。それが翌年にはフィットして、今年はショットに関しては何の不安もない状態が続いています。トップを高くしたことで、ラフに入ったボールも打ち込めるようになりましたし、今日もそれを感じました。理想は堀琴音プロみたいなトップですが、彼女からは『実際に打つ時は、(素振りで似せたトップから)5倍は低くなってる』と言われています(笑)」
南コーチの理論では、トップを高くすることでインパクト前に「ふところができる」ことがメリットで、非力でも効率的に飛ばせるとしている。堀ほどのハイトップでのスイングはできなくても、スイング改造の効果が確実に出ているのが、木村と南コーチの実感だ。
初日44位だった今大会については、南コーチの「遠隔パット指導」も功を奏していた。
「夏の重いグリーンでパッティングの感覚が狂っていたので、初日が終わった後に動画を送って見てもらいました。それで30分ぐらい電話でやり取りをする中で、『フォローをもっと出して。ヘッドでボールを押すんじゃなくて、シャフトも使って重いボールを押す意識で』と言われました。それがしっくりときました」
効果はてき面で第2日は、わずか22パットで64をマークして渡邉彩香、高橋彩華と並んで8アンダーで首位に浮上。この日も29パットで68とスコアを伸ばし、同組の2人を突き放した。
155センチ、50キロ。アスリートとしては恵まれた体格ではないが、2020年以降はコンスタントに成績を残してきた。使うクラブにはこだわりを持ち、ゴルフパートナーで購入した16年モデルの中古アイアンを使い続けている。
「打感を大事にしているので、なかなか替えられませんね。でも、年を重ねるにつれて自分でもゴルフは上達している実感はあります。南コーチからも『そういうプロは息の長い選手になれるから、目指していることだよね』と言われています」
手本にしているのは、申ジエ、青木瀬令奈、菊地絵理香。全員が恵まれた飛距離はなくても、巧みなショット、小技を持つ先輩プロたちだ。若手だけでなく、30代後半のプロも目立つようになった国内女子ツアー。11月2日で30歳になる木村も、長く輝き続ける決意だ。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)











