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失意の敗退、涙…北口榛花を慰める姿が話題に 世界のライバルが抱く敬意と愛「日本の人は彼女を誇りに…」

陸上の世界選手権東京大会(国立競技場)は、日本のやり投げ女王が涙で終えた。第7日の19日に行われた女子やり投げ予選で、北口榛花(JAL)は60メートル38と記録を伸ばせず、まさかの予選落ち。失意に暮れる北口に、優しく声をかける海外選手がいた。スポーツマンシップ溢れる姿は中継でも映り、日本のファンの間で話題に。本人を直撃すると、前回大会女王への敬意と愛を語ってくれた。

失意に暮れる北口榛花を笑顔で優しく励ましたアドリアナ・ビラゴシュ(右)【写真:中戸川知世】
失意に暮れる北口榛花を笑顔で優しく励ましたアドリアナ・ビラゴシュ(右)【写真:中戸川知世】

東京世界陸上

 陸上の世界選手権東京大会(国立競技場)は、日本のやり投げ女王が涙で終えた。第7日の19日に行われた女子やり投げ予選で、北口榛花(JAL)は60メートル38と記録を伸ばせず、まさかの予選落ち。失意に暮れる北口に、優しく声をかける海外選手がいた。スポーツマンシップ溢れる姿は中継でも映り、日本のファンの間で話題に。本人を直撃すると、前回大会女王への敬意と愛を語ってくれた。

 ラスト3投目。大歓声に乗って投じたやりは、力なく重力に屈した。前回大会女王で、昨夏のパリ五輪でも金メダル。今大会の日本代表で最も期待され、最も重圧を背負っていた北口の連覇の夢は、予選で散った。

 予選の突破可否は後に行われるB組の結果次第。しかし、自身の投てきを終えると、結末を悟ったかのように椅子に座り、頭を抱えた。表情に生気はない。そんな北口に寄り添ったのが、予選を1位で通過し、20日の決勝で8位入賞を果たしたアドリアナ・ビラゴシュ(セルビア)。笑顔で優しく励ます姿が中継にも捉えられ、SNS上のファンの間で「これぞスポーツマンシップ」「思いやりがしみる」などと反響を呼んだ。

 ビラゴシュ本人に話を聞くと、北口とは1週間ほど合宿で一緒に練習した仲で、競技や休暇について他愛もない会話をしたという。「ハルカは本当にいい人で、素晴らしい投てき者」と敬意を込めた。「今回は予選突破できなかったけど、彼女は最高のやり投げ選手の1人だと思う。昨年やその前に彼女が成し遂げたことはアメージング。日本の人は彼女を誇りに思えるはずだわ」と笑顔で頷いた。

一足先に引き揚げる際に北口に声を掛けたマッケンジー・リトル(左)【写真:中戸川知世】
一足先に引き揚げる際に北口に声を掛けたマッケンジー・リトル(左)【写真:中戸川知世】

 2大会連続銅メダルとなったマッケンジー・リトル(豪州)も北口を励ました1人。予選を一発で通過し、一足先に引き揚げる際にハグをかわした。前回のブダペスト大会では「他の選手が金メダルを獲るなら、ハルカに獲ってほしかった」と口にするほど仲がいい2人。「彼女が決勝に進めなかったのは、私にとって本当に一番残念なことだった」と悲しげに振り返った。

「ハルカはこの大会に向けて、あまりに多くのプレッシャーを感じてしまっていたんだと思う」と推察。「怪我をしていても、どんな投てきをしようとも、彼女は本当にワンダフルで笑顔がステキな人。その姿に何度も何度も刺激を受けてきたの。幸運を祈っているし、またすぐに再会できることを楽しみにしているわ」。愛ある言葉を残したライバルたちも、笑顔の北口が戻ってくることを願っていた。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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