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日本飛び込み界の歴史変える玉井陸斗 世界選手権で見据える2冠、有利な状況に「今回いけるかも」

飛び込みの日本代表が、過去最強の布陣で世界に挑む。日本水泳連盟は24日、7月の世界選手権(シンガポール)に出場する飛び込みと競泳の日本代表を発表。前日までの選考会の結果を受け、飛び込みはパリ五輪銀メダリストの玉井陸斗(18=JSS宝塚)ら8人が名を連ねた。

玉井陸斗(撮影は2024年)【写真:Getty Images】
玉井陸斗(撮影は2024年)【写真:Getty Images】

日本水連が世界選手権日本代表を発表

 飛び込みの日本代表が、過去最強の布陣で世界に挑む。日本水泳連盟は24日、7月の世界選手権(シンガポール)に出場する飛び込みと競泳の日本代表を発表。前日までの選考会の結果を受け、飛び込みはパリ五輪銀メダリストの玉井陸斗(18=JSS宝塚)ら8人が名を連ねた。

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 高飛び込みとシンクロの2種目で出場を決めた玉井は「個人で金、シンクロでメダル」と日本飛び込み界の歴史を変える高い目標を口にした。選考会として行われたジャパンカップでも高飛び込みで圧勝。大久保柊と組んだ10メートルシンクロナイズドを高得点で制して、2種目で世界選手権出場を決めた。

 有力選手の多くがシンクロを経て個人の高飛び込みに臨む。大会によって飛び込み台のクセは様々で、会場の雰囲気も違う。これまでいきなり高飛び込みの「本番」に臨んでいた玉井は「シンクロで慣らしてから高飛び込みができれば、力を発揮しやすい」と2種目に出場する効果を口にした。

 五輪翌年だからこその「金メダルチャンス」もある。トップ選手の多くは五輪後に引退。世代交代で世界に初挑戦する若手よりも、実績のある玉井は有利になる。28年ロサンゼルス五輪での金メダル獲得を目標に掲げているものの「意外と、今回いけるかもしれない」と密かに闘志を燃やしている。

 昨年のパリ五輪で日本飛び込み界悲願の銀メダルを獲得。歴史を変えた玉井の存在が、日本の飛び込みに勢いをもたらす。日本水連飛び込み委員会の野村孝路委員長は会見で「玉井君を中心に複数人のメダリストを出したい」と話した。

 エースの玉井に女子の三上紗也可、さらに金戸凛も大怪我から復帰して代表入り。世界選手権でメダルを獲得した経験のある選手が揃い、野村委員長は「玉井に三上、何より金戸の復活が大きい。いいメンバーが揃いました」と自信を見せた。

 日本飛び込み界の五輪メダルは玉井の1個だけだが、世界選手権では2001年福岡大会男子3メートル板飛び込みで寺内健が銅メダルを獲得して以降、種目数が多いとはいえ銀2、銅3で計5個のメダルを手にしている。01年福岡と22年ブダペストでは2個ずつ獲得。今回は1大会で3個以上のメダルという過去最多も狙える布陣がそろった。

「玉井効果は大きいですよ」と野村委員長。「ここまでやればメダルが獲れるという目標が身近にできた。メダルはより現実的になりましたね。飛び込みへの注目度が高まったのも大きい。これまで、見てもらえることが少なかったから」と、大勢の報道陣に囲まれてインタビューに応じる玉井を見ながら言った。

水泳世界選手権で代表入りし、笑顔で取材に応じる飛び込みの玉井陸斗【写真:編集部】
水泳世界選手権で代表入りし、笑顔で取材に応じる飛び込みの玉井陸斗【写真:編集部】

 今回の選考会となったジャパンカップは、競泳日本選手権の予選と決勝の間を利用して東京アクアティクスセンターで行われた。「飛び込みを多くの人に見てもらうための施策です」と日本の水連鈴木大地会長。普段は地方開催が多かったこともあり、観客数も限られたものだった。「来年以降も競泳の合間に開催したい」と野村委員長は先も見据えている。

 飛び込み日本代表の愛称は、15年に発表された「翼ジャパン」。飛び込み台から空中に飛び出して技を繰り出す様子を表したもので、大空翼率いるサッカーチームの愛称ではない。玉井という大きな翼を手に入れた日本飛び込み陣は、シンガポールの世界選手権で大きく飛び出し、28年ロサンゼルス五輪を目指す。

飛び込み日本代表

▽男子
坂井丞(32=ミキハウス)3メートル板飛び込み
須山晴貴(27=日本水泳振興会宇都宮)3メートル板飛び込み、同シンクロ
伊熊扇李(21=日体大)1メートル板飛び込み、3メートル同シンクロ
玉井陸斗(18=JSS宝塚)高飛び込み、同シンクロ
西田玲雄(25=岡三リビング)高飛び込み
大久保柊(28=昭和化学工業)高飛び込みシンクロ
▽女子
三上紗也可(24=日体大大学院)3メートル板飛び込み
金戸凛(22=日大)高飛び込み

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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