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世界一の秘訣は「カンニング」 競泳界のレジェンド田口信教が力説した真似の重要性「ChatGPTにも聞けばいい」

日本競泳界への期待を熱く語る田口信教氏【写真:編集部】
日本競泳界への期待を熱く語る田口信教氏【写真:編集部】

昨年と比べて目立つ空席に「もっと見てくれる工夫をしないと」

「金メダルのために何でもやった」自負がある。68年メキシコ五輪でキックが泳法違反をとられると、改良したキックをビデオに撮って世界中の審判に送った。鍛えた足の指でスタート台をつかみ、極端な前傾姿勢からのロケットスタートを完成させた。

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 招集所では精神的に優位に立つために、一番高いところを選んで座り、ライバルを見下ろした。メダルの色を決める「運」を引き寄せるために、率先して人が嫌がるトイレ掃除をし、プールや合宿所、ランニング中にはゴミ拾いも励行した。「できることはないかと探し、すべてやった」とさらりと言い切る。

 レース本番ではロケットスタートを警戒するライバルを欺くように前半は抑え、7番手でターンすると残り25メートルでペースダウンする他の選手をごぼう抜きした。「金メダル」から逆算した強化方法、レースプランを完璧に実行して頂点に立った。

 日本競泳陣について「いいですよね。みんな技がうまいし、いい泳ぎをしている」とほめながらも「まだ(伸びる)チャンスはある」ともいった。「イルカは100メートルを5秒で泳ぐんだから、まだ人間には可能がはある。チャットGPTにも聞いてみればいいんです。どうしたら、速く泳げますかって」と笑いながら言った。

 76年モントリオール五輪後に引退し、水泳理論の研究者の道に進んだ。米国留学後に鹿屋体育大で研究を続け、現在は医療創生大の常務理事として医療関係のプロジェクトも手掛ける。

 100回となった日本選手権の歴史の半分以上を、選手として、研究者として見守ってきた田口氏。パリ五輪選考会だった昨年と比べて目立つ空席に「少し寂しい。もっと見に来てくれる工夫をしないと」と苦言を口にしながらも、伝説の金メダリストは「日本の競泳界はもっと強くなる。まだまだ、できることはあります」と、さらなる飛躍に期待していた。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


Seiko

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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