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「今は、レースをすることが楽しい」 涙から8か月、代表入りの池江璃花子が解き放たれた呪縛

本命の50mバタフライは「泳ぎ方と気持ちさえ整っていれば…」

 復帰後、自身のベストタイム更新を目標にしたこともあった。100メートルバタフライは7年前に出した56秒08。世界の記録が停滞していることもあって、パリ五輪なら銅メダル相当だった。しかし、かつてのタイムが遠いことも分かっている。「56秒0を狙うのは早いのか、狙ってはいけないのか。まずは56秒台、それで満足というか十分だという気持ちもある」。冷静に現状を見つめながら話した。

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 大会前から「本命は50メートルバタフライ」と言ってきた。もっとも「50の練習をたくさんしてきたかと言われれば、そこまでやってきたわけじゃない」と明かし「泳ぎ方と気持ちさえ整っていれば、50はある程度速く泳げるので」と笑った。「今は、レースをすることが楽しい」。常に使命感を背負い、緊張を強いられてきた「女子のエース」は、呪縛から解き放たれたように言った。

 もちろん、まだまだ日本チームの中では存在感は抜群。優勝した平井は「憧れの先輩」池江を追いかけて成長した、女子200メートル個人メドレーで池江の持つ高校記録を塗り替えて優勝した成田実生(18=ルネサンス金町)は「大会前には一緒に練習できた。喜んでハグしてくれ、すごくうれしかった」と東京・淑徳巣鴨高の先輩でもある池江の話になると目を輝かせた。池江も「悔しさはあるけれど、うれしかった」と後輩の新記録を喜んだ。

「何のために今日まで頑張ってきたんだろう」と涙したパリ五輪から8カ月。精神的にも一皮むけたのか、達観したかのように無理をせず、ありのままの自分をさらけ出した池江は「集大成」とする28年ロサンゼルス五輪に向けて、確かな一歩を踏み出した。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


Seiko

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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