無冠の「スター軍団」が悲願のリーグ制覇へ首位ターン 13戦無敗のジークスター東京が示した覚悟
東京勢がリーグ優勝すれば30年ぶり
この日は「今季最高」ともいえる集中力だった。闘志が空回りしたのか前半だけで退場が4、相手に6本もの7メートルスローを与えた。それでも、玉川を中心とした堅い守備とGK岩下祐太と矢村裕斗の活躍で最小限に失点をおさえ、前半を18-15とリードして折り返した。
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後半になっても集中は途切れなかった。岩下はこの日17本のシュートを止め、セーブ率42・5パーセントと大活躍。堅い守備からの速い攻めで蔦谷、細川智晃が次々とゴールを決め、着実に点差を広げていった。リーグ4連覇中の王者を好守で圧倒、そこには「勝負弱い」と言われた昨年までの「スター軍団」の姿はなかった。
14チームで争う新リーグ、上位6チームまでが進む6月のプレーオフは1位と2位が準決勝からで有利になる。2位までは入ればいいが、玉川主将は「レギュラーシーズン1位が大きい。負けないということが、他のチームへのプレッシャーにもなる」と話す。リーグ戦を負けなしで突き進む覚悟が、この日の勝利につながった。
「昨シーズンまでとは違うところを見せられた」と話した玉川主将だが、すぐに気持ちを引き締めて「今日は勝ったけれど、目標はリーグ優勝。まだ次の試合があるし、最後に笑ってシーズンを終われるようにしたい」と言い切った。
「東京から世界へ」を目指して「東京トライスターズ」として結成されたのが18年。20年に日本リーグに参戦して5シーズン目、首位折り返しでいよいよ初タイトルが見えてきた。愛知を中心に「西高東低」の男子ハンドボール界。ジークスターが優勝すれば、1995年の中村荷役以来30年ぶりに東京勢のリーグ制覇になる。
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)
