「未来なんてやっぱ誰もわかんないな」 羽生結弦、今を生きて辿り着いた事実と忘れない感謝

未来へ「簡単に『こんな生き様』とは言えないんですけど…」
北京五輪では故障を抱えながら4回転アクセルに挑戦。惜しくも着氷はならなかった。誰よりもスケートに情熱を注いでも、望んでいた未来が待っているわけではないと知っている。
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だからと言って未来は捨てない。「今」を懸命に生きる以外、より良い未来への道はないことも分かっている。「簡単に『こんな生き様』とは言えないんですけど、とりあえず生きている今を、自分の心と自分の正義を信じて、まっすぐ進んでいきたいなっていう気持ちはあります」。ゆっくり言葉を紡ぐ。言い終えた視線は、言葉通りまっすぐだった。
12月7日、30歳の誕生日に行われた埼玉公演初日の取材対応でも「今という中で最善を尽くしていくこと」について触れていた。万感の千秋楽。リンク上で「ちょっとでも今という瞬間を生きているんだと感じてほしい。みんな思っているよりも強く生きてるんだよと、祈りとともに、言葉とスケートでしたためたストーリーです」と思いを届けた。
丁寧に深々と一礼。スタッフ、観客への感謝も忘れない。囲み取材を終えて、報道陣にも同じように頭を下げ「ありがとうございます」の言葉を繰り返した。「唯一無二のもの」と表現するアイスストーリーを終え、また新たな「今」を歩む。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)
