進む円安を肌で実感 「負けると後は自腹で…」1泊3万円超、帰りはエコノミー 切実な“テニスとお金”
男子プロテニスの松井俊英(フリー)が今季、15年ぶりに日本協会の強化選手に復帰する。ダブルスで長年、日本のトップとして戦い続けたからこその偉業だが、一方では今が現役生活の「めっちゃ大きな岐路」なのだという。4月に47歳を迎える年齢以上に問題なのが、金銭的な問題だ。プロテニス選手が、本場欧米の大会を転戦しようとするといくらかかるのか。貴重な“お財布事情”を聞かせてくれた。(前後編の後編)
テニス選手にのしかかる遠征費…松井俊英、強化選手に復帰しても「大きな岐路」
男子プロテニスの松井俊英(フリー)が今季、15年ぶりに日本協会の強化選手に復帰する。ダブルスで長年、日本のトップとして戦い続けたからこその偉業だが、一方では今が現役生活の「めっちゃ大きな岐路」なのだという。4月に47歳を迎える年齢以上に問題なのが、金銭的な問題だ。プロテニス選手が、本場欧米の大会を転戦しようとするといくらかかるのか。貴重な“お財布事情”を聞かせてくれた。(前後編の後編)
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松井は昨年12月23日付けのダブルス世界ランキングが日本人トップの146位。同じく日本ランキングが2位。この種目では常に日本の上位でプレーしてきた。それでも常に悩まされるのが遠征費の問題だという。
「私が主に出場するのは、ATPチャレンジャーツアーという大会ですが、これはホテル代は主催側で出してくれます。ただし、負けた試合の夜までなんです」
ここ数年、為替相場が円安に振れていることもあり、欧米への遠征は金銭負担がどんどん増している。
「例えばスイスに行って転戦することを考えると、大会のある日、月、火曜日まではホテル代が出ますが、1回戦で負けてしまうとここで終わり。次週に向けてその後の水、木、金、土曜日は自腹になりますが、1泊200ドル(約3万円)は下りません。さらにスイスフランでの決済だと、もっと高いこともありますね」
飛行機移動も、行きは身体への負担を考慮してビジネスを選び、帰りはエコノミーにするなどの工夫を重ねている。それでも日本からの欧州往復は40~50万円はかかる。1か月遠征すれば「100万円は覚悟しないとダメですね。勝てば賞金があるのである程度チャラにはなりますが……」。ダブルスを主戦場とする松井は、パートナーと滞在費などをシェアできることもあるが「賞金も半分ですから。いろんなところでやりくりしないと」と苦笑いだ。