メジャー制覇直前「電話で話している方がいたので…」 女子ゴルフ竹田麗央、21歳にして光る精神力
「電話をしている方がいたので…」 初出場で予選落ちした5年前から見せた成長
5年前の2019年。アマチュアで初出場した日本女子オープンはコースに打ちのめされ、予選落ちしていた。
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「女子オープンのコースはこんなに長くて、ラフも深いのかと思ました」
そこから本格的に体幹トレーニングを始め、母でプロゴルファーの哲子さんからの指導を受けつつ、技のバリエーションも増やした。そして、21年大会は7位でローアマを獲得。同年11月、ローアマの資格で出場した最終プロテストで一発合格を果たし、3年後の今大会で頂点に立った。
「歴代優勝者の方がすごい人ばかりで、来年のチャンピオンズディナーに自分も参加できるのかと思うと緊張しますが、すごくうれしいです」
パワーと技だけでなく、メンタルの成長も見せつけた。18番パー4のティーグラウンドでショットの仕切り直しをした場面だ。
「電話をしている方がいたので、仕切り直しをしました。12番で携帯電話の音が気になったまま打ってミスをしたので、18番では打つのを止めました」
そして、再びアドレスに入って放った第1打は狙い通り、フェアウェーを捉えた。
充実した心技体。勝つべくして勝った感もある21歳は前夜、大好きな巨人のセ・リーグ優勝をテレビで見届けていた。
「1回裏からずっと見ていました。阿部監督が泣いていらして、泣いている選手もいたのでもらい泣きしそうになりました。いいものを見せてもらいましたし、『自分も頑張ろう』と思えました」
くしくもこの日に着用したウェアはジャイアンツカラーのオレンジ色。そこを問われると、苦笑いで「いや、特に理由はないんです。マンシングの方から新作を着てほしいと言われたので」と返して会見場を和ませた。コースでは圧倒的な強さを見せながら、話すと緩い感じを醸し出す姿は竹田自身が慕う小祝さくらを思わせる。
竹田は会見で来季米ツアー最終予選会を受験する可能性を示しつつ、シーズン最終戦・JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップまで全9試合に出場すること明言した。既に7勝。あと3勝で熊本の先輩・不動裕理が樹立した年間最多10勝に並ぶことになる。
歴史を塗り替えていく姿は、ドジャースの大谷翔平にも通じるが、会見では大谷にも言及し、「アメリカであれだけ活躍されて、見ている人を楽しませているので憧れています。私もあのように頑張りたいと思います」と目を輝かせた。その視線は既に世界へ向いている。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)