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米国の記者が井上尚弥を「不幸」と評する理由 ボクシング界の現状に疑問「この流れはどうなのか…」

「THE ANSWER」の取材に応じた米紙「ロサンゼルス・タイムズ」の名物コラムニスト、ディラン・ヘルナンデス記者【写真:編集部】
「THE ANSWER」の取材に応じた米紙「ロサンゼルス・タイムズ」の名物コラムニスト、ディラン・ヘルナンデス記者【写真:編集部】

井上が「不幸」である理由は「ライバル不在」

 現代のアメリカボクシング界の状況がその一因かもしれない。1970~80年代を通じてアメリカで最もビジネス的に稼げるスポーツはボクシングだった。しかし、今ではバスケットボールなど他のスポーツの方が稼げる。小柄でアジリティの高い人はサッカー選手の道を選ぶので、優秀なアスリートはボクシングの道をなかなか選択しない。90年代の後半でも各階級に10人くらい強烈な実力者がいたが、今のボクシングのタレント層はすごく浅いものになっている。

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 タレント不足が深刻なので、今はビッグファイトを作るのが難しい状況。井上のみならず、階級を上げて、王者同士の戦いにしないと大きなマッチメークにならない。ルールとして同じ体重の選手が戦うことが大前提のボクシングの世界で、この流れはどうなのかと思う。

 井上も一時期、アメリカで戦った。世界に認められようとラスベガスでアピールしたけど、良いライバルがいなければ、こちらではチケットやペイ・パー・ビュー(PPV)はなかなか売れない。

 かつてボクシングのビッグマッチは国民的イベントだった。カネロ(サウル・アルバレス=メキシコ)―フロイド・メイウェザー(米国)戦があった日、MLBのドジャースは遠征だった。ドジャースの試合時間とビッグマッチが重なった時に何が起きたか。選手たちはPPVを買い、クラブハウスで観戦したんだ。ドジャースの攻撃中はみんなダグアウトにいない。チームでは問題になったけど、ボクシング人気はそれほど凄かった。ビッグマッチがあれば、みんな「これしかない」という感じだった。

 PFPトップの一角と評価されるテレンス・クロフォード(米国)も人気がない。井上と同世代のタレント、スター性で言うと、ガーボンタ・デービス(米国)くらいしかいない。さすがに体重とフレームの違いが大きすぎるので、実現すべきではない。偉大な対戦相手の存在で自分のレガシーを築いていくボクシング界で、ライバル不在の井上の状況は不幸と言える。

(THE ANSWER編集部)


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