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「スタートに立つと動悸が収まらない」 1500m大独走でもピリピリした女王・田中希実の号砲直前【陸上日本選手権】

走りに意志を宿し、1500メートルを駆け抜けた田中【写真:奥井隆史】
走りに意志を宿し、1500メートルを駆け抜けた田中【写真:奥井隆史】

ドルーリー朱瑛里、久保凛ら高校生たちと競演へ

 今年5月の世界最高峰ダイヤモンドリーグ(DL)・ユージーン大会5000メートルで14分47秒69をマーク。参加標準14分52秒00を突破し、昨夏のブダペスト世界陸上で8位入賞しているため、五輪代表に内定した。21年東京五輪で8位入賞した1500メートルは五輪準決勝で出した3分59秒19が日本記録のまま。今大会で参加標準記録4分02秒50を突破した上で優勝すれば五輪内定となる。

 日本記録を持つ両種目に加え、今大会は2年ぶりに800メートルにもエントリーした。同種目ではグランプリシリーズで3連勝を飾った16歳・久保凛(東大阪大敬愛高2年)らとの競演にも注目が集まる。27日に1500メートル決勝には、ドルーリーも進出。否が応でも周囲には比べられる場面になる。

 ただ、五輪と世界陸上で入賞歴のある“先輩”は落ち着いて自分の走りだけを見据えた。

「今日は予選で落ちるかもしれないという覚悟を持って、明日が当たり前のようにあるとは思わず、今日に全力を注ぎ込めたと思う。だからこそ、明日(28日)は尻すぼみにならないように、自分の中でしっかりその種を大事に育てて開花させていくような、じっくりと過ごす4日間にしていきたい。当たり前に権利が取れるとは思わず、権利を落としてもいいぐらいの覚悟で攻めのレースをする。それが結果的に8月にも繋がってくる」

 汗だくで応じた取材。「自分の中で陸上と真摯に向き合えたなと思える時間にしたい」と付け加えた。言葉にも、走りにも生気が宿るランナー。タイトルは守るのではなく、再び奪うものだ。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)


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