8年ぶり「代々木決戦」に見えた進化 バスケA東京、昨季王者・琉球攻略へ繰り広げた駆け引き
勝負どころで得点のメインデル、貫く「自然体でのプレー」
極めつけは、2点ビハインドで迎えた第4クォーター残り13秒のシーン。スローインに対するダーラムの寄せに片足立ちに追い込まれたところをしのいだメインデルは、一気にゴールまで加速してダンクを叩き込み、オーバータイムに向けた流れも作った。メインデルは、勝負どころでの状況判断についてもコメントしている。
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「複雑に考えないこと。それと相手のディフェンスをしっかりと読んでから正しいプレー、読みにつながるプレーを心がけています。楽しみながらも、自分のプレーを信じて、そこからいかに自然体でいられるかを考えてプレーを続けました。情熱や気合いといった部分は、空回りしなければ必ずプラスになりますし、どうせならホームなのでファンさえも味方につける。そうして、良い勝利につながったと思います」
また、琉球の終盤の打開力を十分に理解しているからこそというA東京の守り方も、第4クォーターやオーバータイムの随所で見られた。ゴール下まで1人で割っていけるダーラムに対しては、サイズがとにかく高い位置でボールを持たせ、ドラマチックな3ポイントシュートを何度も沈めてきた岸本隆一に対するテーブス海によるマッチアップも効いた。パスの供給を絶ちながらボールを持たせてもドリブルを突かせる粘り強い守備で、テーブスがマッチアップした第4クォーター終盤以降、岸本をフィールドゴールなしに押さえ込んだ。テーブスは最終盤の自らのディフェンスについて、次のようにコメントを残した。
「岸本選手に関して言うと、特に第4クォーターで爆発できるような選手です。それまでの3クォーターについては守れていたとは思いますが、それでも第4クォーターになると本当に危なくなる。『何がなんでも、気持ち良くボールを持たせない』という意識で守っていきました」
翌4日に行われた第2戦では、20点以上のリードを一時逆転された琉球が再逆転に成功し、76-74で勝利し、この連戦を1勝1敗の五分で終えた。
8年ぶりに代々木第一で火花を散らしたA東京と琉球の対戦は、さながらBリーグファイナルを思わせるような激闘となり、両チームの指揮官が策をめぐらせ、それに全力で応えようとする選手たちによってさらなる熱気がもたらされた。Bリーグ創設から8シーズンにわたる進化が凝縮したような一戦は、立ち合ったバスケットボールファンたちを、大いに喜ばせ、楽しませたことだろう。
(荒 大 / Masaru Ara)