井上尚弥はなぜ自分を追い込めるのか 「何のために練習するのかといえば…」
過去最高の充実度「限界は破っていかないといけない」
一方で、積んできたトレーニングにも自信を持っている。6月から始動し、120ラウンドのスパーリングを積んできた。パートナーは日本人2人とフィリピン人4人の計6人。次々と相手を変えて、サウスポー対策を積んだ。体もきっちりと追い込んできた。真夏の熱海で合宿。砂場を走り、全身をいじめ抜いた。
「今回は追い込みました。練習量は1番。同じ時間でも、気持ちと追い込み方でがらっと練習量が変わる。これだけやったからもう大丈夫だと思える。何のために練習するかといえば、試合当日に自信をもってやるためです。マクドネル戦以上です」
前回のバンタム級初戦も追い込んできた。だが、当時を超えた自負がある。以前からの練習量の多さは大橋会長も認めているが、そんな井上自身が妥協せず、貪欲にトレーニングを重ねている。「今回これだけの追い込みをやれば、次はこれ以上に。限界は破っていかないといけないので」とさらりと言ってのけるのだから底が知れない。
今や世界のボクシングファンからも注目を浴びる井上。WBSSで勝てばさらに上のステージに進むこととなるが、「気合ももちろん入っていますが、自分としては毎回同じような気持ちですし。今回WBSSですけど、戦うことは一緒。そういう仕事をしっかり成し遂げたい」とまずは目の前の一戦にだけ集中している。WBAベルトがかけられることとなるが、「防衛戦という気持ちはない。挑戦者の気持ち」とうなずく。慢心などどこ吹く風だ。
老獪なパヤノは決して簡単な敵ではない。だが、やはり今の井上に死角は見当たらない。
(THE ANSWER編集部)