井上尚弥KO劇で見過ごされた“0.001秒”の技術 米名トレーナー解説「彼は少しだけ変化を加えた」
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)の「ミリ秒単位」の技術が脚光を浴びている。昨年12月にマーロン・タパレス(フィリピン)に10回KO勝ち。防御重視の相手を倒し切り、マイク・タイソンを指導した経歴のある名トレーナーは「彼は少しだけ変化を加えた」と指摘した。
井上尚弥のKOパンチ、タイソン指導の米トレーナーが独自解説
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)の「ミリ秒単位」の技術が脚光を浴びている。昨年12月にマーロン・タパレス(フィリピン)に10回KO勝ち。防御重視の相手を倒し切り、マイク・タイソンを指導した経歴のある名トレーナーは「彼は少しだけ変化を加えた」と指摘した。
「イノウエの適応力が素晴らしかった」。そんな称賛の言葉を並べたのはタイソンをはじめ、数々の世界王者を指導してきた米国の名トレーナー、テディ・アトラス氏だった。自身の米ボクシングポッドキャスト番組「ザ・ファイト・ウィズ・テディ・アトラス」に登場。堅い防御とタフネスで粘るタパレスを仕留めた姿を独自に解説した。
「彼はタパレスをクリーンに捉えることができなかったから、タパレスの耳の後ろやグラブの後ろなどに当てるようにパンチを変化させたんだ。KOのパンチは見過ごされている気がする。彼はジャブで視界を塞いでから右を打ち込んだんだ。かなり狭いスペースだった。小さなことだけど少しだけ変化を加えたんだ」
井上は10回にガードをこじ開けるワンツーで衝撃KO勝ち。隠れた“0.001秒単位”の技術があったという。
「それは、左のジャブをミリ秒単位で少し長く打っておいてから、右を打ち込んだ。彼はそれができるくらい冷静だったし、そうすることでタパレスの視界を塞げることがわかっていたんだ。ジャブを長く伸ばしてカウンターを浴びない選手は少ない。彼は十分な時間、左のジャブを残しておいて右を打ち込むことができる選手なんだ」
カウンターを浴びずに倒し切ったことを絶賛した。「彼は全てを兼ね備えたボクサーだよ」。かつてタイソンを育て上げたカス・ダマト氏に師事し、自身もトレーナーとして世界王者を育て上げたアトラス氏も拍手を送っているようだ。
(THE ANSWER編集部)