世界Sバンタム級4団体統一戦

　ボクシングの世界スーパーバンタム級（55.3キロ以下）4団体統一戦12回戦が26日、東京・有明アリーナで行われ、WBC＆WBO王者・井上尚弥（大橋）がWBA＆IBF王者マーロン・タパレス（フィリピン）に10回1分2秒KO勝ち。男子では世界2人目、アジア人初の「2階級4団体統一」の歴史的偉業とともに、日本人最多タイの世界戦通算21勝も飾った。試合中継した米スポーツ専門局「ESPN」の実況席では、元世界王者も戦いぶりを絶賛していた。

　井上は4回後半に左フックを着弾。ふらつかせ、ロープ際でのラッシュでダウンを奪った。以降はタパレスに粘られたが、終始優位に進めながら、10回に決着。見事なワンツーを突き刺し、2度目のダウンを奪取した。膝をついたタパレスは10カウント。リングを支配し続け、完勝を収めた。井上はコーナーに上がって勝利をアピール。またも4本のベルトを巻き、世界最強を証明した。

　米国時間では夜明け前の一戦。「ESPN」のストリーミングサービス「ESPN+」では、元WBO世界スーパーフェザー級王者ジャメル・ヘリング氏がKOシーンに注目。「ガードの上からだろうと、あれだけ強く打てばガードを崩せると分かっていたんだよ。（タパレスは）守れていると思っただろうけどね」と守備を固めていたタパレスが崩れた場面を解説した。

　実況のカラン・バティア氏は同じ場面について「信じられないのが、どちらの右パンチも部分的にガードされていたことです。それにもかかわらずイノウエはKOしてしまいました。これぞイノウエのパワーの証明でしょう」と舌を巻いていた。

　試合後、リングで数々の表彰を受ける井上を見たバティア氏は「タパレスも称賛しなければいけません。序盤にはゲームプランを遂行し、試合中にアジャストして見せました。しかし最終的にはザ・モンスターが強すぎました」とタパレスの戦いぶりにも触れた。へリング氏は元王者という視点から「称賛に値する。彼は打席に立って戦いに挑んだ。最も重要なのは、最善を尽くしたことだよ」と最後まで井上を苦しめたことを称えていた。