近づく日本人初の100m9秒台 快挙達成に向けて重要な要素とは?
風とタイムの関係は?
この計算にあてはめると、昨年大会で上限いっぱいの追い風2・0メートルであればタイムは9秒96~97前後となり、桐生は公認9秒台を出せていた可能性がある。一方、今年は向かい風。向かい風が1メートル強くなると、タイムは0秒1程度遅くなる。
これによると、桐生が仮に無風の条件で走っていたとしても、記録は10秒10前後。好条件の追い風によるアシストが、大台突破には求められる。
桐生の次戦は、5月8日のセイコーゴールデングランプリ川崎。昨年の世界陸上北京大会でウサイン・ボルト(ジャマイカ)に次ぐ銀メダルに輝いたジャスティン・ガトリン(米国)や、新星サニブラウン・アブデル・ハキーム(城西大城西高)もエントリー。昨年大会では高瀬慧(富士通)が向かい風の中で10秒09をマークしており、今年もハイレベルな展開での好タイムが期待される。
今季初戦こそ大台突破はお預けとなったが、日本短距離界の夜明けとも言うべき9秒台の足音は、確実に近づいてきている。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer