「ファジーカスVS宇都宮」をもう一度 初来日から12季、現役最後のライバル対決実現への期待
2連敗にあった学び「長い目で見ていきたい」
今季もファジーカスはもちろん川崎の主軸であり、平均得点(15.5得点)、平均リバウンド(8.4本)はチームトップの数字を誇る。だが、これまでよりもローテーションの中での起用が見られ、プレーの中でも彼ばかりを頼らない場面も時折起きる。ファジーカスも自分なりにチームの戦術や流れを率直に、されどポジティブに感じ取っているようだ。
「スタッツが残っていないと思う人もいるでしょうが、調子自体は良いままでいられて、シュートを打ちきれているし、決定力などは良いところを保てているとも思います。とはいえ、チームが勝っていることが大事で、チームの姿が変わっていく中で、僕が30点も取らなくても大丈夫というチームになりつつあります」
9日の第1戦は83-86、10日の第2戦は74-76と連敗を喫したものの、宇都宮相手にここぞという場面で高い得点力を見せるシーンもあり、持ち前のシュートセンスがまだまだ錆びついていないことを示している。ただ、チームにとっては今季初の連敗となり、三遠ネオフェニックスとの中地区の首位争いでは一歩後退となった。それでもファジーカスは先の戦いを見据えて、この2連戦で得た価値を強調する。
「2敗という結果は残ってしまいますが、学びは多いと感じていますし、『これでシーズンが終わってしまう』という戦いではありません。この連戦でやられはしたものの、もっと大事な時期に彼らとは当たるはずで、そこでやり返せればと感じています。一歩下がってしまったとは思いますけど、中地区を勝つ、天皇杯を勝ち進む、Bリーグで優勝する……という目標を掲げている中で、シーズンは長いレースのようなもので、スプリントを競うものではありません。しっかりと長い目で見ていきたいと思います」
19試合を終えた時点で川崎は中地区2位、宇都宮も東地区2位につけており、両者がこのまま上位で戦い続ければチャンピオンシップでの対戦も現実味を帯びてくる。だが、川崎にとっては苦い記憶がある。実はこれまでチャンピオンシップで宇都宮と7回対戦しているが、一度も勝てておらず、辛酸をなめ続けているのだ。
今シーズン再び激突の日を迎えた時、川崎はファジーカスの言葉通りにレギュラーシーズンの借りを返すことができるのか。総決算とも言うべきチャンピオンシップの大一番でぶつかった時こそが、本当の意味での「ファジーカスVS宇都宮」のラストバトルになるはず。シーズン序盤で相まみえた長年のライバルが、もう一度コート上で熱い火花を散らすことを願いたい。
(荒 大 / Masaru Ara)