B1史上5人目の偉業達成 “天性のシューター”金丸晃輔、「3P成功700本」の裏にある34歳の脱皮
バスケットボールBリーグの三遠ネオフェニックスに所属する金丸晃輔が、12月9日の広島ドラゴンフライズ戦でB1通算700本目の3ポイントシュートを決めた。2016-17シーズンに開幕したBリーグでは、史上5人目の達成だ。
絶好調の三遠ネオフェニックスで存在感、9日の広島戦で記録を作る
バスケットボールBリーグの三遠ネオフェニックスに所属する金丸晃輔が、12月9日の広島ドラゴンフライズ戦でB1通算700本目の3ポイントシュートを決めた。2016-17シーズンに開幕したBリーグでは、史上5人目の達成だ。
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34歳の金丸は「変態シューター」という少し失礼な二つ名が示すように、長いキャリアの中では何度も“あり得ない状況”からタフショットを沈めてきた。その柔らかいリリース、高いアーチはプロ選手でもなかなか真似のできるものではない。かつて彼から「熱くなったら負け」というコメントを聞いたこともあるが、試合中は常に冷静で、どんなに激しく詰められても表情一つ変えない。そんなメンタリティも含めて天性のシューターだ。
シーホース三河でプレーしていた2020-21シーズンには1試合平均16.8得点を決め、3Pシュートの成功率も46.6%を記録。金丸は同シーズンのB1のMVPに輝いている。
その後、島根スサノオマジックを経て2022-23シーズンからは三遠でプレーしている。個人の数字を見れば、最盛期からはっきり落ちている。しかし現在所属する三遠は10日の広島戦を終えて16勝3敗、西地区首位と絶好調だ。ベテランシューターは意外な進化を遂げ、チームに貢献している。
9日の広島戦も金丸はベンチスタート。スモールフォワード(SF)のポジションには、26歳の細川一輝がいる。187センチ・92キロの細川はパワフルな守備に定評があり、優れたシューターでもある。金丸も192センチ・88キロとウイングにしては十分なサイズの持ち主だが、フィジカルなタイプではない。
金丸は22分29秒の出場時間で、5得点にとどまった。ただし大切な試合の締めでコートに立ち、84-77の勝利に貢献。大野篤史ヘッドコーチ(HC)は試合後にこう述べていた。
「(金丸は)少しずつプレータイムを伸ばしている状況です。去年から少し怪我が多いので、あまり無理はさせていません。その中でディフェンスの意識がウチに来て変わってきてくれています。オフェンスはあまり目立たなかったですけど、今日の後半はかなり良いディフェンスもしていましたし、要所でシュートを決めてくれました。コートにいる時間(の個人得点)は5点ですけど、(チームの)プラスマイナス12は彼の献身的な働きのおかげかなと思っています」
三遠はアスレチックな(身体能力が高いタイプの)若手選手が多く、ハードな守備から速い攻撃を繰り出すチーム。金丸が移籍すると聞いた時、「三遠、大野HCのスタイルと合うのか?」と疑問視したファンは多いだろう。結果として金丸が歩み寄り、三遠のスタイルに適応している。
どんな競技でも、30代半ばになってプレースタイルを変える選手はなかなかいない。実績のあるベテランとなれば、なおさらだろう。しかし金丸は大野HCの下で、脱皮に成功した。
「大野さんも常にディフェンスファースト、ディフェンスをまず考えろといつもおっしゃっています。今まで僕はオフェンスに全振りしてきて、ディフェンスについてほとんど分からない状況で三遠に来ましたけど、一から細かく教えてもらいました。すぐには良くならないし、怒られたりもしたんですけど、1人がサボるとチームディフェンスはすぐ崩壊してしまうし、チームに迷惑がかかる。ディフェンスだけは抜かないように心がけています」
大野HCも金丸について「ローテーション」「誰にどこで何をさせるか」といった守備の状況判断を評価していた。そこは間違いなく三遠加入後に成長した部分だ。