フルトン撃破で4階級制覇を達成

　25日に行われたボクシングのWBC＆WBO世界スーパーバンタム級（55.3キロ以下）タイトルマッチ12回戦で、挑戦者の井上尚弥（大橋）が2団体統一王者スティーブン・フルトン（米国）に8回TKO勝ち。4階級制覇を達成した。海外メディアからも絶賛されている井上だが、世界で最も権威のあるボクシング専門誌「ザ・リング」の格付け評定員は「最も感銘を受けた」井上のパフォーマンスについて語っている。

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　リング誌の格付け評議員を務めるアダム・アブラモウィッツ氏は、自身が編集長を務めるメディア「サタデーナイト・ボクシング」に井上―フルトン戦の「オピニオンと所見」を記した。

　記事では「偉大な選手は特別な性質を持っている。技術や反射神経、リング上での支配力のコンビネーションで有能な相手をすぐに魅了してしまう何かだ」と井上の能力を表現。「KOパンチャーではないフルトンは、自分がデオンテイ・ワイルダーでもあるかのようにビッグショットを狙っていた」と、元WBC世界ヘビー級王者で強烈なパンチが魅力のワイルダーの名前を出し、フルトンの様子を記した。

　このフルトンの様子はアブラモウィッツ氏にとって予想外だったようで「困惑させられる決断だ。イノウエは極めて効果的にフルトンを彼自身の終焉の加担者に仕立ててしまったのだ」と井上もそこにつけ込んだと見ている。

　アブラモウィッツ氏は「イノウエのパフォーマンスで最も感銘を受けたのは、試合を通したボディショットへのコミットメントで、それが8回の最初のダウンを最終的に組み立てたことだ」と指摘している。序盤から井上はフルトンのボディにジャブを打ち続けていたが「このパンチは時間を経るごとにダメージが蓄積する。そして8回、彼はジャブを再びボディへ放ち、井上が右ストレートを打ち込めるほどフルトンの手を下げた。そして彼はそれを逃さなかった」とダウン奪取の場面を伝えている。

「フルトンはパンチに衝撃を受け、バランスを崩してキャンバスに手をついた。イノウエはジャンプしながら粉砕する左フック/アッパーのハイブリットパンチを放って、フルトンからダウンを奪ったのだ」と、井上の一連の攻撃を伝えたアブラモウィッツ氏。「あの左は偉大な選手が引き出せる即興の業だった」とダウンを奪った追撃の左を絶賛していた。