WBC＆WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦

　ボクシングのWBC＆WBO世界スーパーバンタム級（55.3キロ以下）タイトルマッチ12回戦が25日、東京・有明アリーナで行われ、挑戦者の井上尚弥（大橋）が2団体統一王者スティーブン・フルトン（米国）に8回TKO勝ちで4階級制覇を達成した。4団体統一と4階級制覇の両方を達成したのは世界2人目の偉業とあって、米ヤフースポーツのコラムニストも絶賛。「彼はショウヘイ・オオタニであり、パトリック・マホームズであり、レブロン・ジェームズなのだ」と他競技のスーパースターたちと肩を並べる存在としている。

　無敗の2団体統一王者を沈めた井上。新階級での初戦ながら序盤からパワフルな動きを披露し、8回に右ストレートから左フックでダウンを奪ったモンスターのパンチは圧巻だった。一度は立ち上がった王者に再びラッシュを見せてTKO勝ち。最強を証明する闘いに終止符を打った。

　米ヤフースポーツは「ナオヤ・イノウエがスーパーバンタム級2団体統一戦でのマスタークラスでスティーブン・フルトンを破壊する」との見出しで、同メディアのボクシング＆格闘技コラムニストのケビン・イオレ氏の記事を掲載した。

　その中で「あなたたちはこの時代だけでなく、他の時代も含めても最高の選手を見ているのだ。火曜日に東京で見たことから考えるに、土曜日にラスベガスでクロフォードとスペンスはパウンド・フォー・パウンド（PFP）の2位の座をかけて戦うことになるだろう」とし、「イノウエは他の選手に大差をつけている」と断言した。

　PFPとは全17階級を総合し、各メディアが格付けする現役最強ランキング。井上は軒並みトップ3に入っている。週末に行われるPPFライバルのテレンス・クロフォード（米国）とエロール・スペンスJr.（米国）のウェルター級4団体統一戦というビッグマッチを控えるが、井上はフルトン戦で断然1位を明確にしたと評した。
　
　イオレ氏は「彼は、伝統的により上の階級の選手を歓迎し、フェザー級以下の選手にほとんど注意を払ってこなかった米国ではまだ広く評価されていない」と“過小評価”される現状を冷静に指摘。しかし「もしあなたが少しでもボクシングを愛していれば、この男を見る義務がある」と訴えると、こう続けた。

「彼はショウヘイ・オオタニであり、パトリック・マホームズであり、レブロン・ジェームズなのだ」

　圧巻のパフォーマンスを見せた井上に対し、同じ日本人スターの大谷翔平の名前を出しながら「彼はあらゆる意味でスーパースターだ」「ボクシング史上でも彼を上回る選手はわずかしかいない」と称したイオレ氏。モンスターはスポーツ大国において絶対的な地位を築いたようだ。