7.25世界戦へ前日計量

　ボクシングのWBC＆WBO世界スーパーバンタム級（55.3キロ以下）タイトルマッチが25日、東京・有明アリーナで行われる。24日は神奈川・横浜市内のホテルで前日計量が行われ、挑戦者の井上尚弥（大橋）が55.2キロ、2団体統一王者スティーブン・フルトン（米国）が55.3キロでパス。井上の新階級ボディーが完成し、世界が注目するビッグマッチが成立した。戦績は30歳の井上が24勝（21KO）、29歳のフルトンが21勝（8KO）。試合はNTTドコモの映像配信プラットフォーム「Lemino」で独占無料生配信される。

　この日は井上を共同プロモートする米興行大手・トップランク社のボブ・アラムCEOも来場。緊張感に包まれた中、名前をコールされた井上は笑顔で表れた。先に計量台に乗ったのはフルトン。55.3でパスすると、力こぶをつくった。陣営は拍手喝采。井上も55.2でクリアし、両腕で力こぶをつくるなどポーズを取った。その後のフェースオフは33秒。互いの顔は3センチほどの距離まで近づいた。

　25秒を過ぎたあたりで関係者が制止したが、両者とも動かず。さらに近づき、にらみ合いは一触即発のムードとなった。

　井上は昨年12月にバンタム級で4団体統一。今年1月に王座を返上し、1階級上で1.8キロ重いスーパーバンタム級に転向した。もともとの自身の体格を上回る相手が多い新階級への挑戦。過酷と知られる元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナーのフィジカルトレーニングを受け、肉体強化を図ってきた。

　22日の公式会見では、フルトン陣営のワヒード・ラヒームトレーナーが過去の試合で井上のバンテージの巻き方に不正があったと指摘。拳に硬さを持たせるものとされていたが、ルール上認められたやり方で何の問題もない。井上は思わぬ“難癖”をつけられる格好となった。

　井上が拳を痛め、当初の5月7日から延期された一戦。1年1か月ぶりのリングとなるフルトンは現在4戦連続で判定勝ちするなど、高い技術力を誇る試合巧者だ。1つ上のフェザー級転向も視野に入れ、身長169センチは井上を4センチ上回る。アマチュア時代は米国外で試合経験があるが、プロでは22戦目で初めて。モンスターの挑戦を受けるため、敵地に乗り込んできた。

　井上はバンタム級王座に挑戦した2018年5月以来、5年2か月ぶりの挑戦者。勝てば井岡一翔に次ぐ日本人2人目の4階級制覇となる。

　セミファイナルのWBO世界フェザー級（57.1キロ以下）王者ロベイシ・ラミレス（キューバ）は57.0キロ、世界初挑戦の同級12位・清水聡（大橋）は57.0キロでパス。清水は勝てば長谷川穂積の35歳9か月を上回り、日本人男子最年長の37歳4か月で世界王座奪取となる。戦績は37歳の清水が11勝（10KO）1敗、初防衛戦で29歳のラミレスが12勝（7KO）1敗。