井上尚弥が練習公開

　ボクシングの前世界バンタム級4団体統一王者・井上尚弥（大橋）が15日、神奈川・横浜市内の所属ジムで練習を公開した。25日に東京・有明アリーナでWBC＆WBO世界スーパーバンタム級2団体統一王者スティーブン・フルトン（米国）に挑戦。「頭脳戦になる」と強調し、「相手より賢く戦えるか」と4階級制覇の鍵を明かした。戦績は30歳の井上が24勝（21KO）、17日に29歳になるフルトンが21勝（8KO）。試合はNTTドコモの映像配信プラットフォーム「Lemino」で独占無料生配信される。

　ボクシングIQの高い者同士、ハイレベルな激闘になりそうだ。練習前に取材に応じた井上は、相手の出方について「フルトンのスタイルなら賢く戦うしかない」と断言。「それ（相手）よりどう賢く戦うか。頭脳戦になると思います。一瞬のミスをした方が負ける。凄くヒリヒリした戦いになる」と目をギラつかせた。

　フルトンは現在4戦連続で判定勝ちするなど、21勝（8KO）の戦績が示す通り、高い技術力を誇る試合巧者。今回も井上から距離を取り、ポイントを奪っていくスタイルで臨む可能性がある。バックステップやクリンチの上手さにも定評があるが、井上は「そこもイメージは固まっている」と勝利への青写真は描けている。

　井上はバンタム級から1.8キロ重い階級への挑戦。過酷と知られる元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナーのフィジカルトレーニングを受け、肉体強化を図った。「スピード、パワーは自分の方があるけど、それより考えることが大事。今回はフルトンより考えること」。どれだけ作戦を練り、遂行できるか。自身の出方について「今は言えない。（イメージは）もちろんある」と話すにとどめた。

　転級すれば、どんなボクサーも“階級の壁”を痛感するもの。しかし、モンスターは「一発が当たれば試合が終わるという自信を持って練習しています。間違いなく終わる」と自信。1.8キロ差は「凄くプラス。マイナス面は一つもない。（不安は）全くないです。バンタム級では（減量で）筋肉量が多少落ちてスピードが乗らない感覚があった。今回はパワーはもちろん、スピードも増している」と言い切った。

　5年2か月ぶりの挑戦者。チームTシャツは挑戦者カラーの青にした。会見後は縄跳び3分、インターバル30秒、シャドー30秒でトータル4分のみ披露。14日の公開練習をわずか2分半ほどで終えたフルトンと同様に異例の短さで切り上げた。

「（バンタム級に比べ）凄く安定感がある。全く違う試合展開に持っていけると思う。（世界王座に）3回挑戦してきたけど、その時以上の気持ちです。見てもらいたいものは下の階級の時と変わらない。勝つ姿を見てほしい」

　海外ではメディアだけではなく、元王者らも井上勝利を推す声が多い。「予想の声を裏切りたくない。そういう人たちの期待通りの試合をしたい」と力に変えていく。