元NBA選手を生かせるか Bリーグ西宮、“ライバル”越谷戦で見えた1部昇格への希望
ハミルトンが不発に終わった要因
西宮視点で見れば、他の理由や事情がある。まずハミルトンは1月末にチームへ合流したばかりで、アジャストがまだ途上だ。
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森山知広ヘッドコーチ(HC)は越谷の“スペースを与えない対応”を振り返りつつ、判定に関しても「今年から適用されている“シリンダーファウル”が1回も鳴らなかったことには違和感があります」と触れていた。
とはいえ判定にアジャストする必要があったことも間違いない。森山HCはこう続ける。
「日本人選手がスクリーナーになってスイッチさせる、オンボールスクリーナーを外国籍でなく日本人にするのも一つ(の方法)だと思います。チームとしてこういうプレッシャーがかかったディフェンスをされた時にどうするかは、なかなか練習だけではできない部分です。プレーオフまで残り15試合の中で、最適解をチームで見つけられるようにしたい」
ハミルトンが不発に終わった背景を探ると、別の側面もある。それは中西良太の不在だ。森山HCは「中西とセットにすることで、彼(ハミルトン)のパフォーマンスはもっといけると思っています。今節と先週の青森戦は中西がいなかったので、ハミルトンのところでアドバンテージを作りづらくなっていた。中西と出た時は彼のアシスト、中西の得点が増えている」と述べる。
ハミルトンはどちらかというとウイングタイプで、スクリーンを「かけてもらう」ことで生きる。中西は202センチ・110キロのパワーフォワードで、ピック&ロールからゴール下に飛び込んでいける。ただ外国籍選手の同時起用は「2人」なので、ハミルトンは中西がいないと持ち味が出にくい。
森山HCは中西の復帰時期について明言を避けたが、ベンチには入っていて、ニュアンス的には近日中に実戦へ戻れるようだ。
6日の越谷戦を終えて、西宮は21勝24敗。ぎりぎりプレーオフ出場圏内にはいるが、彼らとしては不本意な現在地だろう。
しかし森山HCは希望を口にする。
「今の順位はありますけど、相手から見たらうちのメンツは嫌だと思います。越谷戦もアルティーリ戦も含めて、トップチームとも十分やれる力はある。あとは怪我人の復帰を待って、ジョーダン(ハミルトン)のいいところをしっかりチームとしても引き出していきたい」
「今シーズンはもう1回レギュラーシーズンで(3月25日・26日に)越谷と当たるんですけど、そこで全員揃ってどう(なる)かと、僕も期待しています。開幕節はジガ・ディメッツと渡邊翔太がいない状況で1勝1敗だったし、今回も中西と濱高(康明)がいなくて1勝1敗。お互いが全員揃ったなかで、やってみたいなという思いはあります」
プレーオフで越谷と当たっても五分にやれる、その前に一度勝ち切って苦手意識を植えつけたい――。森山HCの言葉からは、そんな思いが感じられた。
(大島 和人 / Kazuto Oshima)