王子の猛抗議で覆ったW杯のゴール判定 主審に突き付けた、まさかの理由と悲しき末路【W杯事件簿】
1930年の創設から今回のカタール大会で22回目の開催となるFIFAワールドカップ(W杯)。4年に一度、世界一の称号をかけて激突する大会ではこれまで数々の事件が起こってきた。1982年スペイン大会では貴賓席に座っていた「王子」の介入でゴールが取り消しになる事件が勃発。W杯史上、類を見ない出来事に世界のファンは唖然とした。
W杯で起こった事件を振り返る
1930年の創設から今回のカタール大会で22回目の開催となるFIFAワールドカップ(W杯)。4年に一度、世界一の称号をかけて激突する大会ではこれまで数々の事件が起こってきた。1982年スペイン大会では貴賓席に座っていた「王子」の介入でゴールが取り消しになる事件が勃発。W杯史上、類を見ない出来事に世界のファンは唖然とした。
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1982年スペイン大会のグループリーグ、フランス―クウェート戦で信じられない光景が繰り広げられた。フランスが3-1とリードして迎えた後半35分、フランスMFジレスがダメ押しの4点目を決め、主審もゴールと認定。しかし、クウェートの選手はスタンドから聞こえてきた笛の音が主審が吹いたものと勘違いし、プレーを止めていた。これに怒ったのが、貴賓席で観戦していたクウェートサッカー協会会長でクウェート王族のシェイク・ファハド氏だった。
ファハド王子はピッチに下りて主審に猛抗議。すると、主審はフランスのゴールをすぐに取り消した。これは2018年ロシア大会でVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が導入されるまで、W杯の歴史で一度認められたゴールが取り消された唯一の事例だった。試合は結局その後、フランスが1点を加え、4-1の勝利を収めている。
国際サッカー連盟はこの一連の騒動を問題視。判定を覆した主審は資格停止処分を受け、ファハド王子には警告、クウェートサッカー協会には罰金が科された。なお、ファハド王子は1990年、イラクによるクウェート侵攻で戦死している。
(THE ANSWER編集部)