「3タッチですべて変えた」 松井大輔も脱帽した浅野拓磨V弾とドイツから大金星の価値
ドイツ戦の勝利を「歴史が変わった大会」の始まりにしてほしい
追いついた日本の勢いは止まらない。後半38分、自陣右サイドのFKから板倉滉のロングボールに抜け出した浅野が、武器であるスピードを生かして逆転弾を決める。これには稀代のテクニシャンとして知られる松井も目を丸くした。
【特集】初代金メダリストが次世代に繋ぐサポートの輪「夢を持ってくれたら」 / スケートボード・堀米雄斗選手インタビュー(GROWINGへ)
「浅野選手の何が凄いかと言ったら、あのトラップです。一生に一度あるかないかのトラップだと思います。あのトラップで勝負が決まったと言っても過言ではありません。あのファーストタッチでスピードに乗り、2タッチ目でボールを運んでDFの前に入り込み、3タッチ目で(マヌエル・)ノイアー選手のニアハイを抜く。たったの3タッチですべてを変えたのだから、まさにワールドクラス。W杯という特別な舞台でしか見られないプレーでした」
大一番で飛び出したビッグプレーは、そのまま勝利に直結した。下馬評を覆す勝利が、日本サッカーに与える影響は大きいと松井は説く。
「サッカーはやってみなければ分からない。これがあるから僕たちは、サッカーを見たい、やりたいと思うのでしょう。日本がW杯でドイツに勝ったのだから、これは歴史的な勝利です。すでに歴史の1ページを刻んでいます。でも、最終的には『歴史が変わった大会の最初のゲーム』にしてほしい」
日本にとってカタールの地は、1993年の「ドーハの悲劇」から“歓喜”の場所に変わった。だが、ドイツ戦の勝利はあくまでも序章に過ぎない。松井は機運高まる森保ジャパンに、さらなる期待を隠そうとしなかった。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)