W杯日本代表、なぜ“大学経由”選手が急増? 02年大会以降で最多9人の背景にある事情
大学を経由しても欧州移籍ができるルートを確立
最後に、大学経由のトレンドが加速している環境的な要因にも触れておきたい。今や10年以上前には確立されていなかったオランダやベルギー、ポルトガルなど欧州5大リーグに次ぐ第2、第3のグループへの移籍のルートが生まれたことが、非常に大きいのだ。
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国内で1、2年活躍した後に渡欧する大卒選手のケースも増えた。かつては欧州で活躍するためには高卒Jリーガーとなり、国内で活躍することがマストという風潮があったが、今や大学を経由してからでも、その夢が叶えられる。事実、プロからオファーがあっても、能力に絶対的な自信を持てない高校生は大学進学を選ぶようになっている。イングランド・プレミアリーグのブライトンで活躍する三笘薫は、川崎U-18からのトップ昇格を断って大学に進学して今の姿がある。今後もそういったケースは増えてくるだろう。
「高卒だとプロでやるにはまだ厳しいケースがほとんど。即戦力を求めるなら大卒がいい」
「明治大学はJ2でも中位以上にいけるくらいの強さがある」
Jクラブのスカウトの口からはこんな言葉も飛び出しており、18歳から21歳の年代の強化における大学サッカーの存在意義は、誰もが認めるところなのだ。“最後の育成機関”として、大学サッカーはこれからも大役を果たしていくだろう。
■歴代W杯日本代表における大学経由の選手
●1998年フランス大会(11人/登録メンバー22人)
小島伸幸(同志社大学)
相馬直樹(早稲田大学)
井原正巳(筑波大学)
小村徳男(順天堂大学)
山口素弘(東海大学)
中山雅史(筑波大学)
名波 浩(順天堂大学)
服部年宏(東海大学※)
岡野雅行(日本大学)
斉藤俊秀(早稲田大学)
秋田 豊(愛知学院大学)
●2002年日韓大会(3人/登録メンバー23人)
秋田 豊(愛知学院大学)
服部年宏(東海大学※)
中山雅史(筑波大学)
●2006年ドイツ大会(2人/登録メンバー23人)
巻誠一郎(駒澤大学)
坪井慶介(福岡大学)
●2010年南アフリカ大会(3人/登録メンバー23人)
長友佑都(明治大学※)
岩政大樹(東京学芸大学)
中村憲剛(中央大学)
●2014年ブラジル大会(2人/登録メンバー23人)
長友佑都(明治大学※)
伊野波雅彦(阪南大学※)
●2018年ロシア大会(3人/登録メンバー23人)
長友佑都(明治大学※)
東口順昭(新潟経営大学)
武藤嘉紀(慶應大学※)
●2022年カタール大会(9人/登録メンバー26人)
シュミット・ダニエル(中央大学)
長友佑都(明治大学※)
谷口彰悟(筑波大学)
山根視来(桐蔭横浜大学)
伊東純也(神奈川大学)
守田英正(流通経済大学)
相馬勇紀(早稲田大学)
三笘 薫(筑波大学)
上田綺世(法政大学※)
※=大学在学中にプロ契約
(竹中 玲央奈 / Reona Takenaka)