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久保建英、三笘薫らW杯代表4人を指導 川崎U-12元監督が“利き足”重視に転換した理由

現在はJ3のテゲバジャーロ宮崎で監督を務める高崎康嗣氏【写真:TEGEVAJARO MIYAZAKI】
現在はJ3のテゲバジャーロ宮崎で監督を務める高崎康嗣氏【写真:TEGEVAJARO MIYAZAKI】

技術習得のポイントを絞ると「急激な成長を遂げる」

 髙﨑は常に世界を意識してサッカーを見つめ、選手たちにもそう呼びかけ続けた。

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「選手たちへの一斉メールには、逐一欧州の情報などを入れ、最後は必ず『世界を目指そう』と締めていました。僕が選手たちをダノン・ネーションズ・カップへ連れて行きたかったのも、世界にはいろんな特徴の選手がいることを知り、島国の日本とは異なるたくさんの文化に触れて欲しかったからです。それがきっと人間としての成長に繋がるはずだから」

 チームを率いて世界大会を観察し、髙﨑は重要なポイントに気づいた。

「優れた選手は、ほとんど利き足でプレーしていました。逆足を使った瞬間には、簡単にボールを奪えた。欧州も南米も輝いている選手たちは、みんな利き足に独自のポイントを持っている。それ以前は僕も右でも左でも蹴れるように、と指導をしていました。でも世界を見て気づいてからは『ごめん、もっと伸ばせる方法があった』と選手たちに謝り、利き足にこだわる指導へと転換しました」

 もし川崎と他のクラブの指導方針に差異があり、成功の秘訣があったとすれば、この利き足重点指導に尽きる。髙﨑は、そう考えている。

「利き足に重きを置く。こうして技術習得のポイントを1点に絞ると、子供たちが過去に例を見ないくらい急激な成長を遂げていきました。利き足という武器が良くなると、ボールを奪われるシーンを見ることが減り、仕掛けてミスをしても本人がすぐに分かる。2回目のタッチでミスしたから4回目のタッチで奪われた。子供たちから、そんな明快な答えが返ってくるんです。実は脳科学的にも、そのほうが圧倒的に左右差も解消され器用に動くようになる。僕が世界を意識する上で、そこは絶対に外せないポイントでした」

 川崎の選手たちの上達は、一部の関係者にも一目瞭然だったという。

「他のチームの関係者からも、『ボールの持ち方が綺麗になった』と気づきの声が聞こえてくるようになりました」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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