A東京と日本代表の両立に苦心 バスケ吉井裕鷹、勝利貢献も「実力不足」と語る理由は?
若きオールラウンダーが目指す高み
もっとも試合後の吉井に、満足した様子はなかった。彼は自らの立ち位置について、こう口にする。
「今はライアン(ロシター)やセバス(サイズ)が結構いい調子でやっているので、4番(パワーフォワード)ではあまりプレータイムを獲得できていない。僕が4番で出たら狙われるので、コーチ陣としても出し辛い部分があると思う。3番(スモールフォワード)としても動きをまだ全然覚えられてないので、向上の余地がある。『向上の余地』で終わらないようにしたい」
外国籍選手とのマッチアップについても、「マッチアップすると、ファウルがかさんでしまう」と悩みを口にしていた。26日の仙台戦は第4クォーター残り0分55秒で5つ目のファウルを宣告され、ファウルアウトしている。タフに戦った結果でもあるのだが、彼はファウルの多さについて問題意識を口にしていた。
日本代表とA東京は、スタイルがかなり違う。しかし掛け持ちの難しさを“言い訳”にすることを、彼はやんわり拒絶していた。
「(代表に)選んでもらえるのは光栄なことですし、それに対応できていないのは僕自身がまだまだ実力不足ということ。代表に行ったから、こちらに帰ってきて難しくなっているとはあまり言いたくない」(吉井)
仙台戦の吉井が持ち味を出して、勝利に貢献していたことは間違いない。ただし彼のコメントに晴れやかさはなく、むしろ“もがいている”様子が伝わってきた。とはいえ自己評価の低さは、彼が目指すものの高さの証明。若きオールラウンダーが壁にぶつかって葛藤し、最後はそこを打ち破って成長することを願いたい。
(大島 和人 / Kazuto Oshima)