「リーグ最高のPG」と指揮官絶賛 名古屋D・齋藤拓実、3P成功率55.6%が示す成長力
名古屋Dが目指す攻守に積極的なスタイル
齋藤を中心にした名古屋Dのオフェンスは融通無碍だ。オーストラリア人指揮官はこう口にする。
「(15日の)前半は相手チームが齋藤をマークしていて、彼は後半の途中までに6アシストを取りました。その後は(相手の対応を見極めて)点を取りに行きました。彼は自分でそこを調整できる選手です。チームもそういう成長をしていっています。コーチが誰かに『点を取りに行け』『あれをやれ』と指示をするのでなく、チーム全体で流れを見て、ディフェンスに反応してプレーしています」
名古屋Dの1試合平均の失点数は「82.5」で、この数字だけを見ると要改善だ。しかし、これには彼らのスタイルが影響している。
「点数だけを見てディフェンスの評価をするのは違うと思います。去年はターンオーバーからの得点がリーグ最多でした。我々はディフェンスからテンポを作ってオフェンスをやります。ハイペースな、テンポの高いプレーをしますから、ポゼションも多くなる。自然と点数も多くなります。失点が多いからディフェンスが悪いということではありません」(デニスHC)
アグレッシブな守備がハイスコアを生む。そのような連関について、新主将はこう述べる。
「去年からスタイルを変えずにやっていますが、ほとんど同じメンバーでやれていることが大きくて、システムの理解が高い状態でシーズンに入れました。(名古屋Dの)ディフェンスはトラップが多かったりして、オフェンスを速いテンポで入りやすいシステムになっています。PGとしても、ディフェンスからオフェンスに切り替わる瞬間は常にプッシュしながら、速いテンポを意識しています」
齋藤はチームのキャプテンで、エースの1人だが、名古屋Dが彼のワンマンチームかと言ったら違う。プレータイムは15日が22分34秒、16日は23分27秒にとどまった。モリス・ンドゥール、張本天傑、レイ・パークスジュニア、伊藤達哉といったセカンドユニットも強力だ。
「僕たちのバスケットは全選手がボールを触って、目の前で起きていることに対して判断するシステムです。平均的にみんながバランス良く点数を取れる。やっている側もきっと楽しいし、見ている人たちにもきっと楽しんでもらえるバスケットです」(齋藤)
そして指揮官はこう意気込む。
「B1で初めて、1試合に平均90点を取るチームになりたい。遅いバスケット、ピックアンドロールをしてボールを中に入れて、じわじわ攻めるバスケットよりは、こういうバスケットのほうが『楽しいのでは?』と思います。エキサイティングで、ファンも喜ぶと信じています。Bリーグは『NBAの次にエキサイティングなリーグ』を目標にしていますが、我々のやるようなバスケットはその一歩です」
(大島 和人 / Kazuto Oshima)