【世界陸上】男子35km競歩、川野将虎がアジア新で銀メダル! 金まで1秒差激闘「銀は凄く光栄なこと」
オレゴン世界陸上の男子35キロ競歩が24日、米オレゴン州ユージンで行われた。川野将虎(旭化成)がアジア新記録の2時間23分15秒の2位、野田明宏(自衛隊体育学校)が2時間25分29秒の9位、松永大介(富士通)が2時間33分56秒の26位。従来は50キロだったが、今大会から35キロに短縮された新種目だった。優勝は2時間23分14秒のマッシモ・スタノ(イタリア)。
オレゴン世界陸上
オレゴン世界陸上の男子35キロ競歩が24日、米オレゴン州ユージンで行われた。川野将虎(旭化成)がアジア新記録の2時間23分15秒の2位、野田明宏(自衛隊体育学校)が2時間25分29秒の9位、松永大介(富士通)が2時間33分56秒の26位。従来は50キロだったが、今大会から35キロに短縮された新種目だった。優勝は2時間23分14秒のマッシモ・スタノ(イタリア)。
号砲から日の丸戦士が飛び出した。松永がエンジン全開。いきなりグングンと集団を引き離し、驚異的な大逃げで早くも独り旅になった。1キロを3分59で通過し、川野、野田らの2位集団とは26秒差。沿道に笑顔を見せる余裕もあった。中継画面にはたった一人しか映らない異様な光景。4キロ地点は16分15で42秒差をつけた。
野田は5キロまでくらいついたが、徐々に後退。4月の日本選手権王者・川野は2位集団のまま、松永に53秒差の41分31秒で10キロを通過した。松永は周回コースで下位選手を次々と追い抜いていく。しかし、徐々に失速し、17キロは2位に37秒差、19キロで23秒差。日影を歩こうとコース端に寄りすぎ、柵に足を引っかけて転びそうになる場面も。20キロを過ぎてついに川野ら2位集団に追い抜かれた。
川野は先頭集団にくらいつき、25キロを1時間43分04で通過した。集団が何人いるか確認しながら歩く。30キロは2時間03分24秒。残り2キロを切ってマッシモ・スタノ(イタリア)と一騎打ち。顔をしかめながら先頭で激しい争いを繰り広げた。最後はわずか1秒及ばす、フィニッシュの瞬間に倒れ込んだ。道路に拳を叩きつけて悔しがる。立ち上がり、スタノと抱擁して健闘を称えあった。
大会開幕日の15日(日本時間16日)に行われた男子20キロ競歩では、山西利和(愛知製鋼)が連覇、池田向希(旭化成)が銀メダルを獲得。前回19年ドーハ大会の50キロは鈴木雄介(富士通)が優勝していた。
川野「銀メダルは凄く光栄なこと。今まで獲れなかったメダルが獲れたのは嬉しい。1月の貧血の時から支えてくださったコーチ、スタッフに感謝の気持ちでいっぱいです。勝負はラスト10キロ前半はいかに力を残すかがテーマだった。金メダリストには及ばなかったですね。慢心せずにこれからも準備したい。今の日本の競歩があるのは、歴代の先輩たちが繋いできてくれたから」
野田「本当に情けない。日本選手権から甘い部分が出てしまった。終盤で行きたかったけど、思った以上に体が動かなかった。思った以上に世界は甘くない。もっと前半から積極的に攻めていかないと。コンディションは今までで一番いい。精神的にも、肉体的にも整っていた。(前回19年ドーハ大会は50キロ競歩で途中棄権し)完歩できたのは成長。もう一つ上で戦うにはまだまだ。先頭集団で勝負しないといけない」
松永「準備不足。足の怪我で順調じゃなかった部分が完全にレース途中に出てしまった。でも、やりたいレースはできました。後悔はないです。5月下旬に右膝蓋靭帯炎。その中で無理をして練習をしていた。しょうがないといえばしょうがない。逃げ切れるほど甘くはなかった。本当はここでメダルを獲って引退しようと思っていたけど、獲れなかったので、(パリ五輪まで)あと2年メダルを追い続けたい」
(THE ANSWER編集部)