あの日、ブルペンの田中将大に変えられた野球人生 元楽天38歳、引退後の今明かす秘話
「THE ANSWER」の連載「Restart――戦力外通告からの再出発」に登場した元プロ野球選手で、現在は楽天野球団のアカデミーコーチとして活動する青山浩二さん。インタビューの中で掲載できなかった現役時代の秘話を「こぼれ話」としてここで紹介する。
楽天野球団のアカデミーコーチを務める青山さん、田中将大との絆とは
「THE ANSWER」の連載「Restart――戦力外通告からの再出発」に登場した元プロ野球選手で、現在は楽天野球団のアカデミーコーチとして活動する青山浩二さん。インタビューの中で掲載できなかった現役時代の秘話を「こぼれ話」としてここで紹介する。
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青山さんには、「彼と出会ったのがターニングポイント」と振り返る縁がある。北海道・駒大苫小牧高で活躍し、2006年の高校生ドラフト1位で入団してきた田中将大投手だ。
“怪物”として注目された田中とは、沖縄・久米島キャンプで同部屋だったこともあり、自然と仲良くなった。甲子園の活躍などで知名度はずば抜けていたため「かいくぐりながら」も仙台でよく食事を共にしていた。
数年が経ったある日。田中のブルペン投球を何気なく眺めていた青山さんは、彼の武器であるスライダーを真似してみることにした。元々投げていた球種ではあるが、人差し指と中指を2シーム(縫い目)にかけて投げる握りに変更。「これが凄くハマった」。武器を手に入れて飛躍し、15年間で通算625試合に登板するまでになった。楽天イーグルスの生え抜きでは史上最多登板だ。
「お金を稼ぐボール、マネーボールができましたね。今まで空振りしなかったバッターが空振りしたり、右バッターがのけ反ったり。これは使えるなと思って投げ続けたら、15年間もできました」
田中のメジャー挑戦以降も、帰国時に食事をするなど交流は続いた。青山さんは2020年限りで引退。その年も帰国していた田中と食事したが、数日後の引退セレモニーに動画でサプライズメッセージが届き、驚いた。「いつ撮ったんだよ?! と思って(笑)。1~2日しか日本にいられなかったはず。凄く嬉しかったです」。懐かしそうに、笑顔で振り返ってくれた。
青山さんの引退翌年から、田中は楽天イーグルスに帰ってきた。「あと1年(引退を)我慢したら一緒にやれたのに、とも思いましたけど、それも運命かなと。自分が球団から離れていないから、一緒と言えば一緒。そこも縁があるなと思います」。引退後は東北6県の子供たちを指導中。今も第一線でプレーし続ける田中にエールを送りつつ、第二の人生で奮闘している。
(THE ANSWER編集部)